『進撃の巨人』キーパーソンのアルミン 声優・井上麻里奈が作品にもたらした影響

 『別冊少年マガジン』にて12年に渡って連載がつづき、2021年春に漫画版の連載が終了した『進撃の巨人』。2013年からはアニメ版が放送開始し、隔年に渡って丁寧に描かれてきた同作品は、2022年1月から『進撃の巨人 The Final Season Part2』としてスタートし終盤に向かっていく。

 原作ストーリーの謎多きストーリーと緊迫感は、Production I.Gから2012年6月に独立した子会社のWIT STUDIOとスタッフィングによって保たれてきた。様々な事情が絡み、第3期を最後にWIT STUDIOは制作を降りることになったわけだが、「高クオリティな作品を引きつぐ」ことの難しさゆえに新たな制作会社探しが非常に難航したことを明かしている。 

 現在放送されている「The Final Season」(第4期)はMAPPAへと引き継がれ、一部のスタッフを除いてほとんどの主要スタッフが変更されている。WIT STUDIOや荒木哲郎監督らの全面協力のもと情報交換などがしっかりと行われており、並々ならぬ情熱が制作に向けられている。

 声優陣はこれまでからの変更はなく、これまでの、いやこれまで以上の熱演を期待してしまう。アニメ放送を前に、改めてキャラクターや出演者たちを振り返るとともに、表現の魅力について掘り下げていきたい。今回は、エレンたちを支えるアルミン・アルレルト演じる井上麻里奈をフォーカスしていく。

 エレンとミカサの幼馴染であり、大人しく内向的で、喧嘩強い2人とは対照的な温和な性格の持ち主。体力・身体能力が周囲に比べると低く、エレンや教官からは技巧職などに就くよう勧められたが、本人は調査兵団を志望し、見事合格を果たすなど、エレンにも負けない芯の強さを持ち合わせている。

 勉強熱心・探求心は人一倍強く、機転が利く参謀役として周りから期待されることが多い。物語に関わるような謎解きシーン、戦況を一発で変えるここ一番な場面、生死を分かつ危機的状況などでは最良な解決をひらめき、苦難を突破していくシーンが数々ある。

 そのこともあり、ストーリーが進むと彼はいくつもの大役を任されるようになっていく。エレンやミカサという血筋や才能をもった存在とは違い、彼は頭脳と機転をもって大きく成長していく。それがアルミンの物語ともいえよう。

 何より、幼少期のエレンに「外の世界への憧れ」を持たせた最初の人物であり、この記憶が物語において大きなファクターとして効いてくる。エレンをどう支え、どのように2人がコミュニケーションしていくか、彼ら2人の結びつきが『進撃の巨人』本編のドラマティックなワンシーンを彩ってきた。

 特にアニメ版『進撃の巨人』第3期55話「白夜」でのアルミンやエルヴィン団長を巡っての争いは、ショッキングなシーンであることも加わってアニメ視聴者や原作読者にとってもハイライトシーンの一つであろう。「The Final Season」では年齢を重ねて成長した姿をみせ、調査兵団の窮地を救っていくことになるのだ。

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