『プロミス・シンデレラ』での怪演光る松井玲奈 出演作が絶えない独自の歩みに迫る
放送中の『プロミス・シンデレラ』(TBS系)にて、“怪演”を披露している松井玲奈。彼女は同作において、ヒロイン・桂木早梅(二階堂ふみ)を容赦なく追い詰める役どころに扮している。松井と二階堂といえば、朝ドラ『エール』(2020年/NHK総合)で仲の良い姉妹の関係を演じていただけに、どうしても複雑な心境になってしまう。そう、松井は視聴者が彼女に抱くイメージを、優に超えてくるのだ。
本作『プロミス・シンデレラ』は、男女の三角関係を描いたもの。ヒロイン・早梅は夫の不倫が原因で離婚し、家を飛び出したはいいものの、スリに遭って無一文に。路上で生活をしていたところ、ひょんなことから出会ったボンボン高校生・片岡壱成(眞栄田郷敦)と親密な間柄となるも、奇遇にも彼の兄・成吾(岩田剛典)とは“初恋相手同士”という関係であり、これが三角関係へと発展していくのだ。この三者の周りで暗躍し、早梅を陥れようとしているのが、松井演じる菊乃である。成吾が副社長を務める高級老舗旅館「かたおか」に出入りする人気芸者だ。
この菊乃という女性は、早梅に対して深い嫉妬心を抱いているようで、それが早梅への執着心となり、恐ろしい所業の数々へと駆り立てている。早梅とその夫(井之脇海)を別れさせたのを皮切りに、やがて「かたおか」で勤めることになった早梅への嫌がらせを次から次へと画策。果ては、菊乃を疑わない早梅を山中へと連れ立ち、急斜面から突き落としてしまう始末。ここまでくると、正気の沙汰ではない。菊乃の実態を知った壱成も、あっという間にスタンガンで片付けられてしまった。
これらをサラリと演ってみせる松井が、本作の強烈なスパイスになっている。原作未読の視聴者にとっては、“年の差カップルのラブストーリー”や“三角関係を描いた恋愛モノ”かと思いきや、とんだサスペンス……いや、「ホラー」とまで言われているようだ。Twitterなどでは菊乃に対する怒りや恐怖の声も多数確認されている。本作の軸であるラブコメディというジャンルに、松井の“怪演”が複雑さを与えているのだ。