眞栄田郷敦、約2年で急成長の背景とは 『プロミス・シンデレラ』『東リベ』などから考察
俳優、特に若手にとって“勢い”は大切だ。たとえば「いつテレビを観ても出ている」「出演映画が切れないな」と思ううち、顔と名前が一致し、いつの間にか“推し”になっていくパターンは多いのではないか。特に国内においてはテレビ(ドラマ・CM等々)の影響力はいまだ絶大で、テレビと映画、そして舞台を縫って出演していくことが、認知にも評価にもつながっていく。
もちろん、個々のスタンス(それは個人においても事務所の方針においても)でどこに主軸を置くかは異なるだろうが、概ねこのパターンの踏襲で、数々の若手俳優がステップアップしていった。媒体によって求められる演技も異なり、武者修行にもうってつけというわけだ。
その最前線にいる俳優は何人かいるが、今回はそのひとり、眞栄田郷敦(まえだ・ごうどん)について紹介したい。2019年の映画『小さな恋のうた』で俳優デビューを果たした彼は、約2年で急成長。まさにいま、破竹の勢いを感じさせる人物だ。もっというと、現状はまだギアを踏み始めた段階で、これから爆発していくであろう予感――つまり、今後数年で起こるであろう大ブレイクへの期待値(もはや確信と言ってもいいかもしれないが)も抜群に高い。
上白石萌歌、浜辺美波らと同じく2000年生まれの21歳。父は千葉真一、兄は新田真剣佑という眞栄田。端正なルックス(特に憂いを帯びた深みのあるまなざしは、一度見たら忘れられないのではないか)や演技の安定感はもちろんのこと、彼の場合は、“打率”が非常に高い。
改めて、現在までの出演作をざっと見てみよう。まず映画だが、
『小さな恋のうた』(2019年)
『午前0時、キスしに来てよ』(2019年)
『ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~』(2021年)
『東京リベンジャーズ』(2021年)
現在はこの4本。上から東映→松竹→東宝→ワーナー・ブラザース配給と、全てがいわゆるメジャー作品。端的に言えば「日本全国で観られる」作品に出続けている。
次に、テレビドラマ(連続)だが
『ノーサイド・ゲーム』(2019年/TBS系)
『私の家政夫ナギサさん』(2020年/TBS系)
『レンアイ漫画家』(2021年/フジテレビ系)
『プロミス・シンデレラ』(2021年/TBS系)
となっている。このほか、単発ないし前・後編構成のドラマとして『あと3回、君に会える』(2020年/カンテレ・フジテレビ系)や『教場II』(2021年/フジテレビ系)、『星になりたかった君と』(2021年/日本テレビ系)などがある。2021年を約半年残した段階、つまり2年半でこの出演数、しかもメジャー級(全国公開・放送)が目白押しという歩みは、非常に強力だ。
また、配信ドラマにも注目いただきたい。近年のテレビドラマで主流になってきたアプローチとして、各放送局の動画配信サービスでスピンオフを同時に配信し、そこで若手俳優をメインに昇格させるというものがあるが、『私の家政夫ナギサさん』のスピンオフ『私の部下のハルトくん』(2020年/Paravi)、『レンアイ漫画家』のスピンオフ『レンアイ格闘家』(2021年/FOD)で主演を任されている点からも、ポジショニングは明らか。眞栄田はいまや「ネクストブレイクスター」として、各作品(各局)が推したい人物なのだ。