『彼女はキレイだった』正体を隠した恋は果たして実るのか? 過去の恋愛ドラマから探る
火曜ドラマ『彼女はキレイだった』(カンテレ・フジテレビ系)は、四角関係がこじれにこじれてきてしまった。大人になってから容姿が様変わりした主人公の佐藤愛(小芝風花)は、そんな自分を恥じて容姿端麗の親友・梨沙(佐久間由衣)を身代わりに、初恋の相手・宗介(中島健人)に会わせる。その一度きりで良かったはずなのに、梨沙と宗介はその後なんども街中で出くわすし、梨沙も彼のことが気になってきてしまう。そしてついに、先週放送の第6話では、禁じ手とも言える「パズルのピース」を持ち出して勝負する梨沙。もうあっちもこっちも後には引けない状況で、全てが明かされた時の地獄絵図が目に浮かんで仕方ない。
しかし、梨沙というキャラクターに対し「よくも親友を裏切る行為を!」と責めてもしょうがないし、責めきれないものだ。“好き”という感情は一度芽生えてしまえば、厄介にもモラルや道理というものを平気でぶち壊して前に突き進むエンジンとして、人々を煩わせるものである。そんなにみんなが理性的なら、この世には最初から不倫や略奪愛なんてものは存在しない。一方、ついにイメチェンして自信がつき、“昔の自分”を取り戻してきた愛。前回に仕事で大失敗をしてしまった分がバネとなって、仕事にも意欲的に取り組み、以前と比べればすごく毎日が充実している様子。そうしてようやく自信も出てきて、宗介に想いと真実を話そうと家の前まで来たが、そこで目の当たりしたのは宗介から自分の名前で呼ばれる親友の梨沙の姿だった。ショックすぎる!
ある意味、二人はどちらも正体を隠して意中の相手に接近している。恋愛ドラマではわりと見かけるこの設定、前期の『恋はDeepに』(日本テレビ系)も自分が人魚であることを隠した渚海音(石原さとみ)が、人間の蓮田倫太郎(綾野剛)に恋をした。しかしこの時は、中盤から彼女が非人間であることを倫太郎が察していたため、その嘘が最終回まで引っ張られても、愛情には支障をきたさなかった。
もっと遡ると、“正体を隠す系”恋愛ドラマの中でも大ヒットを記録した作品に『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』(フジテレビ系/2007年)がある。本当は女性という正体を隠した芦屋瑞稀(堀北真希)が、男子校に入学。しかし第3話で意中の相手・佐野(小栗旬)に正体がバレ、第9話では瑞稀に想いを寄せる中津(生田斗真)にも女だということが知られてしまう。そう、実はこのドラマでは結構序盤で恋の相手に嘘が見破られているのだ。そのため最終話で瑞稀の正体が明かされても、ずっと知っていた佐野との恋路に支障をきたすことはなかった。一方、中津の方はやはり戸惑い、最終話ではクラスメイトからも「騙された」と非難される瑞稀。そう、正体を隠す恋愛ドラマはその嘘が長引けば長引くほど、嘘をついた相手との関係に深いダメージを与えるものである。