『おかえりモネ』鮫島と百音の衝突の先にあるものとは “自分のため”が“みんなのため”に

『おかえりモネ』鮫島と百音の衝突

 鮫島と百音がぶつかるシーンは胸が痛い。風を切ってトラックを走る鮫島をずっとそばで見てきた百音が力になりたい、彼女の思いを尊重してあげたいという気持ちもわかる。だけど同時に、勝ちたくてすがる思いで科学的なデータを求めた鮫島が百音の言葉に動揺してしまうのも無理はない。

 鮫島は百音に「助けてもらってばかりだと時々辛くなる」と言った。スポンサーに切られ、工賃も出せずボランティアで周りの人に支えられている鮫島。自分のためにたくさんの人が動いてくれるのは嬉しい反面、期待に応えなければというプレッシャーが重くのしかかる。“自分のため”が、少しずつ“みんなのため”に。きっと誰もがその境界線で揺れ動いているのだろう。

 百音の報告を受け、朝岡(西島秀俊)は情報を受け取った人が動きやすいように結論を一つに絞らなければいけないと気象ビジネスで最も重要なことを語った。そして、結果が出て初めて相手からの信用を得ることができる。

 信頼関係は一朝一夕で築けるものではない。百音と、百音の熱意に心動かされながらも何より自分の感覚に自信が持てない鮫島も、着実にその距離は縮まりながらも過去の出来事をすべては明かせない菅波(坂口健太郎)も。そんなもどかしさ故に愛おしい瞬間が至るところで流れている。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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