『おかえりモネ』今田美桜の同志としての存在感 過去の朝ドラ“ライバル”役とは違う?

今田美桜の“同志”としての存在感

 また、ヒロインのライバルとして注目された存在として、『わろてんか』(2017年後期)秦野リリコ役の広瀬アリスを思い浮かべる人もいるかもしれない。ヒロイン・てん(葵わかな)の恋敵役で登場。幼なじみの藤吉(松坂桃李)のことが好きで、てんに嫉妬する勝気でプライドの高さも際立っていたが、娘義太夫から映画女優へと転身し、やがて相方の四郎(松尾諭)と流行歌漫才を始める。時代に翻弄されながらも、ライバルだったはずの2人が苦楽を共にするうちに関係を変化させていく。

 『わろてんか』と同じ明治生まれのヒロイン、千代(杉咲花)の波乱万丈な人生を描いた『おちょやん』(2020年後期)もその傾向は顕著だった。奉公先のお嬢様と女中として出会ったみつえ(東野絢香)と千代は立場の違いとそれぞれの試練を乗り越えた末に無二の親友となっていた。ルリ子(明日海りお)や香里(松本妃代)にしても、「鶴亀家庭劇」の旗揚げで集まったときにはライバル心むき出しで、千代は嫌われてさえいた。千代のひたむきさ、苦難に負けない強さが伝わることによって、劇団の空気も変わり、ルリ子や香里との関係にも変化が訪れた。

 百音と莉子の関係はライバルでもなく、親友と呼べるほど距離が近いわけでもない。2人は今後、車いすマラソンの練習に励む鮫島(菅原小春)のサポートをチームですることになり、協力して課題に取り組むことになる。朝岡の過去と、スポーツ気象にこだわる理由が明かされたことで、百音にも莉子にも仕事上の変化が2人の距離感にも影響を与えるはずである。

 朝のお天気キャスターに求められる爽やかさ、愛嬌といった魅力を備えつつ、それだけで満足しない莉子の今後の動きが百音にどんな変化をもたらすのか。2人の個性、関係にも注目していこう。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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