劇場が戦場に様変わり! シネマート新宿“ブーストサウンド上映”で観た『T-34』に圧倒
ブーストサウンドは劇場を戦場に変える
そして、映画上映が始まったら、その迫力は見かけだけではないことがすぐにわかる。今回、筆者がブーストサウンド上映で鑑賞したのは『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』。第二次世界大戦を舞台に、ナチスの捕虜となったソ連の戦車兵が、戦車で決死の脱出を試みる戦争アクション映画だ。ロシアを代表する巨匠ニキータ・ミハルコフが製作を務め、撮影には本物のT-34が使用されており、本物の迫力が堪能できる作品だ。
冒頭の戦車バトルのシーンからすでに、ブーストサウンドによる音響の違いが如実に体験できる。砲弾の発射音が轟音となるので大砲の威力が倍増したように感じられ、戦車のエンジンがかかると同時に床から振動が伝わってくる。それは、音というより地響きと形容した方が実感に近いかもしれない。その地響きが、まるで本物の戦車が近くを通っているような感覚を与えてくれるので、本作はブーストサウンドによってよりリアルになったと言えるだろう。
本作は物語の中でも音が重要な要素となっている。例えば、発射された砲弾が戦車の機体をかすめると、中の兵士たちはその反響音によって苦しむという描写がある。その衝撃は砲弾が直撃せずとも乗組員に対して十分に深刻なダメージを与えており、音は凶器という印象を強く印象づける。ブーストサウンドはその凶器としての音の強烈さをさらに強く引き出し、画面上で展開される壮絶な死闘の説得力が増している。まるで、戦場そのものが音によって観客席に飛び出してきたような、そんな鑑賞体験を提供してくれる。
本作の後半は、戦車によって収容所から脱走するシーンが描かれるが、重量感ある戦車が縦横無尽に動き回り、相手を攪乱しながら全力走行で逃げていく。この時、戦車の重量感が音によって増幅されるので、戦車の移動スピードにも驚きが生まれる。
本作が戦争映画でもあることをブーストサウンドは思い出させてくれる。強烈な砲弾音と爆発音は戦場の過酷さを一層強調させ、激闘の凄まじさを物語る。
迫力ある重低音は、映画鑑賞を目と耳だけでなく、全身で体感させるものへと変える、こうした特殊な音響は、映画は鑑賞する場所によって全く異なるものになるという印象を観客に強く与える。コロナで映画館の存在意義が改めて問われている今、ブーストサウンドは、映画館でこそ映画を体験すべき理由があることを証明してくれるものと言えるだろう。
■公開情報
『ブーストサウンド特集上映』
7月23日(金)~7月28日(水)、シネマート新宿 スクリーン1(新宿区新宿 3-13-3 新宿文化ビル6F)にて開催
入場料金:通常料金(※各種サービス適用)
7月28日(水)上映作品:『哭声/コクソン』
チケット販売:オンライン予約&劇場窓口にて販売
シネマート新宿オンラインチケット予約サービス:https://www.cinemart-ticket.jp/shinjuku/schedule/index.php
シネマート新宿公式サイト:http://www.cinemart.co.jp/theater/shinjuku/