岸優太演じる深澤が見た医療現場 『ナイト・ドクター』が描く“コンビニ受診”問題の難しさ
第1話では深澤(岸優太)を軸に、人の命を預かる救急医療における仕事のあり方にフォーカスが当てられた『ナイト・ドクター』(フジテレビ系)。6月28日に放送された第2話では、“コンビニ受診”というひとつのテーマが掲げられる。深夜の病院という特殊なシチュエーション下で直面しうる社会問題やキーワードに触れながら、主要登場人物のバックグラウンドを描くというのが、このドラマの組み立てかたということだろうか。
大輔(戸塚純貴)の浮気現場を目撃してしまったことで仕事に身が入らない美月(波瑠)。そんななか、外来患者を診察するウォークイン当番を命じられた深澤は、子ども連れ患者の多さに驚きながらも元内科医としてのスキルを発揮。一方で美月や幸保(岡崎紗絵)らは緊急性のない“コンビニ受診”の患者ばかりに辟易としていた。ある夜、深澤が一度診察した鮎川親子が訪れ、幼い子ども・玲生の異変に気が付く。しかし診察を担当した美月はただの風邪であると診断。深澤から玲生が黄疸である可能性を聞かされた美月は診察中の不自然なできごとを思い出す。そしてすぐに、玲生が救急搬送されてくるのである。
日中に仕事などがあって病院に行くことができず、夜間や休日の救急外来に訪れる軽症患者に対して、ここ数年、批判的な論調で使われている“コンビニ受診”という言葉。たしかにその多くが入院などを必要としない患者とも言われており、それによって医師の負担が増大。重症患者に手が回らないなどのリスクが生じるという指摘も、ロジックとしてはあながち間違っているとも言いがたい。序盤に描かれたようにタクシー感覚で救急車を利用する人もいまだに存在するというのだから、その辺りは問題視されて然るべきことであろう。
とはいえ、劇中ではこうした“コンビニ受診”に対する先入観こそが人命を奪いかねないものであると警鐘を鳴らす。仮に医師ですら見落としてしまうような病気であった場合、当然のように素人目にはそれが病気であるかの判断がつくはずもなく、手遅れになってしまう可能性も否定できない。ましてや幼い子どもの異変に慌てない親など存在しようか。こうした“コンビニ受診”が問題視されてしまう背景には、前述の救急車同様にリソースが限られていることが少なからず影響しているだろう。医師の人手不足とそれによる過重労働によるキャパシティオーバーは医療崩壊の危険性を高める。それだけに、本作の舞台であるあさひ海浜病院のような昼夜交代の24時間体制を厳格に敷くなど、制度的な改革が進められるのが一番の理想かもしれない。