『ナイト・ドクター』は第2の『コード・ブルー』に? 医療ドラマシリーズ化の条件を探る
“7月期”のドラマでありながら、はやくも6月21日からスタートするというイレギュラーな放送スケジュールをとるフジテレビ系列の新月9ドラマ『ナイト・ドクター』。“365日24時間、どんな患者も断らない”をモットーとした医療を行うため、昼夜完全交代制を導入した病院を舞台に、夜間救急専門チームで奮闘する5人の若手ドクター(波瑠、田中圭、岸優太、北村匠海、岡崎紗絵)を描く物語だ。
あらためて説明するまでもなく、病院を舞台にした「医療ドラマ」というのは「刑事ドラマ」「リーガルドラマ」と並び、テレビドラマの三大鉄板ジャンルである。それはあらゆる職業のなかでも比較的身近で興味をそそられるものがあり、どんな職業なのかざっくりとしたイメージがしやすく、そのため意外性を与えることもできる。また何よりも、事件や病気など、描き方や組み合わせ次第で数え切れないほどストーリーの種が存在しており、そういった意味ではシリーズ化にも対応しやすいなど、数多くのメリットがあるわけだ。
一概に「医療ドラマ」といっても、そのテイストやパターンは多種多様である。医療ドラマブームの先駆とも言える『外科医有森冴子』(日本テレビ系)に端を発し、『医龍 Team Medical Dragon』(フジテレビ系)や『ドクターX 〜外科医・大門未知子〜』(テレビ朝日系)のように、1人の天才的な技術を持つ外科医を物語の中心に据える、ある意味で西部劇的で非日常的ともいえるヒロイックなテイストはとくに人気が高い。もっともこれは、『相棒(テレビ朝日系)』に代表される「刑事ドラマ」、『HERO』(フジテレビ系)や『リーガルハイ』(フジテレビ系)といった「リーガルドラマ」でも特に重宝されている部分である。
また対照的に『Dr.コトー診療所』(フジテレビ系)や『監察医 朝顔』(フジテレビ系)のような医療・医学との関わり合いを日常の中に落とし込むドラマ性重視の作品や、『ナースのお仕事』(フジテレビ系)のようなキャラクター性とコメディ性に重きを置いた作品というのも見受けられる。いずれにせよ、いまここで挙げた「医療ドラマ」はすべて続編が製作されているものであり、前段の作品群はまさに“ストーリーの種”のメリットを存分に享受したもの、後段はより純粋に、連続ドラマに必要とされる時間の経過をうまく活かしたものといえようか。