岸優太演じる深澤が見た医療現場 『ナイト・ドクター』が描く“コンビニ受診”問題の難しさ
今回のもうひとつのキーワードとなっているのが“普通”という実に曖昧な言葉だ。ごく一般的(これもひどく曖昧だが)な社会人のサイクルとは異なる昼夜逆転で働くナイトドクターたち。ある意味では、人間社会の生活リズムにも“普通”があるからこそ夜間の外来診療が特殊なものと捉えられてしまうようにも思えてしまう。そもそも“普通”じゃないから病院が必要であり、そこに夜間も日中も関係ない。ましてや普通の仕事、普通の幸せ、親がいるという普通。社会には多種多様な“普通”が氾濫していて、その曖昧さによって様々な弊害も生まれるのだ。
“普通”とはおおよそ慣習という時間的かつ経験則によるマジョリティに過ぎないのだが、美月が言うように「簡単に変わるもの」でもあり、その一方でなかなか根が深いものでもあるから厄介だ。詰まるところ、「今この病院を任されているのは俺たちだ。何が普通かは俺たちが決める」という本郷(沢村一樹)の言葉で示されている通り、TPOに応じて臨機応変に対応するべきもの、“変わるもの”ではなく“変えるもの”なのかもしれない。
■久保田和馬
1989年生まれ。映画ライター/評論・研究。好きな映画監督はアラン・レネ、ロベール・ブレッソンなど。Twitter
■放送情報
『ナイト・ドクター』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:波瑠、田中圭、岸優太(King & Prince)、岡崎紗絵、北村匠海、沢村一樹、一ノ瀬颯、野呂佳代、櫻井海音、梶原善、真矢ミキ、小野武彦、原菜乃華、宮世琉弥ほか
脚本:大北はるか
プロデュース:野田悠介
演出:関野宗紀、澤田鎌作
制作・著作:フジテレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/ NightDoctor/
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