Sexy Zone 松島聡の好演光る 大切な人たちの顔が浮かぶ『コタローは1人暮らし』

『コタローは1人暮らし』松島聡の好演が光る

 たとえ嘘でも「一緒に住もう」と言ってくれた。困ったときに自分を思い出してくれた。ひとりで背負わず頼ってくれた。コタロー(川原瑛都)は、それだけで嬉しくて、それだけで充分だったのだろう。『コタローは1人暮らし』(テレビ朝日系)第9話を観たあと、大切な人たちの顔が浮かんだ。信じることはもちろん、信じてもらえる人間でありたいと思った。

 施設という慣れない環境で、自分の行動を否定せず、一緒に笑ってはしゃいでくれた佑(松島聡)。コタローにとって佑の存在は、佑が思う以上に大きかったはずだ。突然訪ねてきたにも関わらず、佑と交わす息の合った挨拶、乾杯、懐かしい思い出話ーー。佑は自然にコタローのカレー皿を手に取り、かき混ぜた。コタローは「ソーリーぞ」とだけ言い、佑の前では強がらなかった。2人の歴史や絆に嘘はないと思った。

 そして矛盾するようだが、すぐに人を信じるコタローを、佑が心配する気持ちもきっと嘘ではないはず。けれど、コタローは誰でも簡単に信じるわけではない。“佑だから”信じるのだ。

「佑どのが嘘をついていても、わらわは別に良いのである」
「裏切られることより、信じたい者を信じられないことのほうが辛いであるからな」

 その言葉に、コタローが缶拾いをして貯めたお金に、胸が痛む佑でよかった。盗難騒ぎで、コタローだけがかばってくれたときーー佑は髪をいじって、傷ついていないふりをした。「疑われるのは慣れっこ」だと、辛い気持ちを笑ってごまかし、胸にしまっていた佑の姿を知っているからこそ、コタローは佑を信じ抜くと決めたのかもしれない。

 みんながコタローを注意するなか、佑だけは一緒にはしゃいでくれた。みんなに疑われるなか、コタローだけはかばってくれた。振り返ればコタローと佑は、互いに唯一、存在を肯定してくれた同士だった。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる