Sexy Zone 松島聡の好演光る 大切な人たちの顔が浮かぶ『コタローは1人暮らし』
「もう一回頑張ってみます。あいつが信じてくれるから」。新しい一歩を決意した佑には
嘘のない明るい笑顔が戻っていた。施設を出たあと、裏切られてばかりだったという佑。何があっても自分を信じてくれるコタローとの再会が、もう一度佑を奮い立たせた。信じてくれる人の存在は、人を強くする。「信じてもらえる自分」でありたいと思うことが、原動力になる。
佑を演じたのはSexy Zoneの松島聡。少しでも間違えば嫌われ役となる佑を、松島は共感できる存在として演じてくれた。チャラチャラして見せて、言い知れぬ過去を抱えている佑。
新しい場所で強く生きるコタローの姿や、コタローのまわりにいる“信じられる大人”の存在に、自身の過去を比べてしまうこともあったかもしれない。次第に嘘がばれていくことへの焦りや、嘘と知りつつ自分を信じるコタローへの複雑な感情ーー根は優しく純粋な佑だからこその揺らぐ心が、しっかりと伝わった。
ところで、狩野(横山裕)は再び漫画を描き始めた理由をなんと答えたのだろう。下手な推察はせず、できれば次週その答えを聞きたい。
買い物に出たあかね(高梨臨)が、狩野の部屋を見上げる表情。別れて1年が経ち、狩野の生活の中心がコタローになっていること、狩野が自分の知らない世界で生きていること、守るべきもののために変わろうとしていること……それらをつまらなく思うような表情にも感じとれた。
「重荷」。あかねが、わざわざコタローにそう告げた真意は分からない。本当に狩野のことを思ってのことかもしれない。けれど、コタローにとってはあまりにも厳しい言葉だ。「わらわが弱き者であったせいで」と、コタローはこれまで何度かそう口にした。両親と暮らせないことについて、どこか自分を責めているように感じてならなかった。
「ひとりで、ちゃんと生きていって」。そう言い残して出ていった母上。ひとりでーーそれはコタローにとって、誰にも迷惑をかけずに生きるということなのかもしれない。大切な人を「自分のせいで」傷つけてしまわないよう、遠ざけながら。そんなこと、大人になったって不可能なのに。
どこか不穏なまま、次週はいよいよ最終回。コタローを見つめる狩野の優しい笑顔を見ただけで、もう涙がこぼれてしまう。
■新 亜希子
アラサー&未経験でライターに転身した元医療従事者。音楽・映画メディアを中心に、インタビュー記事・コラムを執筆。Twitter
■放送情報
『コタローは1人暮らし』
テレビ朝日系にて、毎週土曜23:30~0:00放送
出演:横山裕、川原瑛都、山本舞香、西畑大吾(なにわ男子/関西ジャニーズJr.)、百田夏菜子(ももいろクローバーZ)、生瀬勝久、光石研、峯村リエ、大倉孝二、イッセー尾形、出口夏希
原作:津村マミ『コタローは1人暮らし』(小学館)(『ビッグコミックスペリオール』で連載中)
脚本:衛藤凛
音楽:篠田大介
ゼネラルプロデューサー:三輪祐見子(テレビ朝日)
プロデューサー:都築歩(テレビ朝日)、尾花典子(ジェイ・ストーム)、松野千鶴子(アズバーズ)、岡美鶴(アズバーズ)
監督:松本佳奈 ほか
制作協力:アズバーズ
制作著作:テレビ朝日、ジェイ・ストーム
(c)津村マミ/小学館(『ビッグコミックスペリオール』連載中) (c)テレビ朝日