吉田羊が体現する現代女性の生き様 『生きるとか死ぬとか父親とか』で見せる“軽さと重さ”

吉田羊が体現する現代女性の生き様

 今期はテレビ東京『生きるとか死ぬとか父親とか』、NHK『きれいのくに』の2作品に出演した吉田羊。

 ドラマや映画で見ない時期がないほどの活躍をしているが、テレビの連ドラに初めて出演したのは2007年のこと。個人的には2012年の朝ドラ『純と愛』(NHK総合)で演じたヒロインの上司役が印象に残っている。その後、2014年『HERO』(フジテレビ系)で一般的な認知度が上がり、この年からさまざまな賞を受賞したりCMに出演したりと、一気に話題の俳優となった。

 『純と愛』では、ロングな髪をまとめて出演していたが『HERO』ではボブにイメチェン。キリっとした面持ちでありながら、役柄的にも色気のあるキャラクターで注目を集めた。

『生きるとか死ぬとか父親とか』(c)「生きるとか死ぬとか父親とか」製作委員会

 男性の俳優には40代を過ぎてバイプレイヤーとして注目され、主演に抜擢されるという人は一定数存在していたが、女性ではかなり珍しく、また同年代の俳優は、10代、20代から活躍しているため、その当時の面影というか、かわいらしさや甘さを残した人たちも多い。吉田は、そうした「甘さ」のない、クールでビターで落ち着いた雰囲気があるのも見ているものに新しい感覚を抱かせたのではないだろうか。

 近年の出演作を振り返ると2018年の『中学聖日記』(TBS系)では、ヒロイン聖(有村架純)の婚約者・勝太郎(町田啓太)を翻弄するクールな原口律を演じた。ミステリアスで強気な役であるが、その裏で揺れている姿が今でも印象に残る。

 2020年の『恋する母たち』(TBS系)では、矢作兼演じる鳴かず飛ばずの小説家の夫がいるものの、磯村勇斗演じる後輩社員と不倫をしてしまう母親を演じた。年齢の離れた後輩との不倫にも説得力があったし、タイトルの通り「母たち」3人が「恋する」というドラマの中で、木村佳乃、仲里依紗と三者三様の姿を見せていたし、また吉田がいることで、どこかドラマに緊張感が加わっていたような気がする。

 今年は、冒頭に書いたように『生きるとか死ぬとか父親とか』と『きれいのくに』の2作品に出演。

『生きるとか死ぬとか父親とか』(c)「生きるとか死ぬとか父親とか」製作委員会

 『生きるとか死ぬとか父親とか』は、コラムニストやラジオパーソナリティとして活躍するジェーン・スーのエッセイをもとにして作られた作品。このドラマの第一報が出たときには、ジェーン・スーにそっくりな吉田羊の再現度が多いに話題となった。

 ドラマ自体も、軽快でコミカルな部分がありながらも、若い頃に父親の浮気により、母と自身が傷ついた過去などを、監督の山戸結希、菊地健雄の独特のトーンで描く作品になっており、ほかでは見ない空気感が醸し出されている。こうした作品の「軽み」と「重み」の両立した感覚も、吉田羊だからこそ見せられているのかなと思うところがある。

 またこの作品は、家族の話だけでなく、ラジオパーソナリティをしている主人公が人生相談に答える仕事場でのシーンや、中年にさしかかった同年代の女性たちの悲喜こもごも、過去の恋人とのエピソードなども描かれる。実話をもとにしたドラマだけに、都会で生きる現代の女性の姿を、誇張せず自然に再現できているのも、吉田羊が持つリアリティーあってこそのように思えた。

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