『ソロ活女子のススメ』にみる、“おひとりさま"の進化 時代による変換と後ろめたさの払拭
江口のりこ主演で、女性のソロ活を描いたドラマ『ソロ活女子のススメ』(テレビ東京)。現在第3話まで放送されている本作は、出版社に務める契約社員の五月女恵が毎回定時で仕事を終えたその足で様々な場所に赴き、それぞれのトピックごとについてソロ活的な見解を述べていくスタイルで展開される。第1話では「ソロ焼肉とソロリムジン」、第2話では「ソロ動物園とソロ水族館」、第3話では「ソロプラネタリウムとソロラブホテル」、そして第4話は「ソロ工場夜景クルーズ」が描かれる。なんとなく、世間から“普通誰かと一緒に行く/する”というアクティビティに、積極的に個人で挑んでいく主人公。その中でも、やはり記念すべき第1話で“おひとりさま”を象徴するような「ソロ焼肉」に挑戦しているのが興味深い。
ソロ焼肉といえば、印象深いドラマが2006年に放送された阿部寛主演『結婚できない男』(関西テレビ・フジテレビ系)だ。このドラマをきっかけに、“おひとりさま”というキーワードが軽く社会現象となり、2009年にも観月ありさ主演で『おひとりさま』(TBS系)というドラマが放送された。しかし、この2000年代に描かれた “おひとりさま”には共通項がある。それは、主人公の設定だ。仕事もできてルックスも悪くない建築家の男が、その偏屈さ故に“40歳になっても独身”という設定のうえで彼の日々を描く『結婚できない男』。名門私立の日本史教師をして、容姿も美しい才色兼備なのに妥協を許さない完璧主義だから何でも一人でやってしまう“おひとりさま”と、仕事が忙しいから彼氏を作らないという二つの意の“おひとりさま”の女を描いた『おひとりさま』。
そう、この時代の“おひとりさま”とは「恋愛相手がいない、孤独な存在」という使い方を暗にされていたのだ。おまけに、そこには常に「仕事もできて顔もよければ“普通”は誰かと恋仲になれる」という謎の圧さえあった。そして「結婚ができないこと=社会から逸脱している」というニュアンスにも時代を感じる。結婚もまた、選択の一つなのに。