石原さとみ×綾野剛の純愛の行方は? 『恋はDeepに』最終話が描いた“もう一つの奇跡”

『恋はDeepに』最終話が描いた奇跡の形

 皆が過去の自分を抱きしめてやり、喪失を超えて自分の中で“止まっていた時間”を前に進めた『恋はDeepに』(日本テレビ系)最終話。

 いつかの“終わり”を予感しながらも、それでもどうしようもなく惹かれ合っていくツンデレ御曹司・蓮田倫太郎(綾野剛)と海洋学者・渚海音(石原さとみ)の2人を、我々視聴者もある種の覚悟を持ってここまで見守ってきた。しかし、なんとも静かで穏やかで清々しく、なんなら少し拍子抜けしてしまうようなラストが待ち受けていた。何かに引き裂かれたり、抗うでもなく、決して“不本意に”という形ではなく。1年に1度のスーパームーンの光に包まれた夜に、心地いい波音とともに、振り返らずにまっすぐ進む倫太郎を笑顔で見届けた海音は海に帰る。ある意味、2人らしい。2人だけではない、周囲の人たち全ての気持ちが数珠つなぎのように海音を送り出したのだ。間に合わなかったのではない、間に合ったから。皮肉なことにも、全ての事象が“あるべきところ”に収まったとも言える。

 三男・榮太郎(渡邊圭祐)が保有する株を大量に売却し会社が窮地に追いやられたことで、最終話にして初めて三兄弟と、さらには父親が自宅でオフモードで一堂に介する姿が見られた。そこで父親に“厳しくしすぎた”と詫びられた長男・光太郎(大谷亮平)は、自分のように完璧な男になりたいと言う息子を涙ぐみながら抱きしめる。それは目の前の息子を抱きしめていながらも、これまでの過去の自分を彼自身が抱きしめているかのようなシーンだった。

 鴨居教授(橋本じゅん)は数年前に妻を亡くしているようだが、光太郎からの依頼を受けての研究結果改ざんも相まって、もしかしたら少しばかり自暴自棄になっていたのかもしれない。それが海音と一緒に暮らし守らねばならない存在ができたことで、彼自身も自分自身を生き直すことができたのかもしれない。

 倫太郎にしたってそうだ。亡き母親との約束を果たそうと躍起になっていた「海中展望タワー」の建設をやめることを決め、ずっと過去に囚われていた自分を振り返り解放する。「大事なのは“今”の自分にとって大切な人を幸せにすること」だと気付いたようだ。

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