石原さとみ×綾野剛の純愛の行方は? 『恋はDeepに』最終話が描いた“もう一つの奇跡”

『恋はDeepに』最終話が描いた奇跡の形

 海音の水族館の構想案を見ながら2人で話す“海音が海に帰った後”という“未来”の話は、切なくもたくましい。

「こんな場所があれば、海音が海に帰ってもまた戻って来られるな。もうそんなに長くいられないんでしょ?」
「倫太郎さん、これから海のこと、倫太郎さんに任せてもいいですか」
「もちろん」

 そうだ、何も伝説を塗り替えてずっと2人が離れず一緒にいることだけが“奇跡”ではないのだ。むしろ、もともと全く違う種別の2人がこんなにも心を通わせられ、互いにとってかけがえのない存在になれたことこそ“奇跡”なのだ。

 さらに言えば、もう“会えない”“触れることも叶わず抱きしめることもできない”相手をずっと愛し続けると誓う。これを奇跡と呼ばずして何と呼ぶのか。

 海音は倫太郎や皆と出会えたことで、ずっと一人で家族や友達との思い出のなかった彼女のこれまでの人生が一気に彩られた。海以外に大事な場所が増えた。予想外のことだらけだ。

「また明日も会いに来るから。明日も明後日も。明々後日も」
「まだここにいたいです」

 いつ訪れるか知れない、だけれども確実に近づいている別れを意識しながら、こんなふうな言葉を交わし合える2人はやっぱり強い。心だけは離れてしまわないことを確信し合っているから。

 そして、それを現実にしてしまえる倫太郎はやっぱり最高だ。3年後が描かれたが、倫太郎は星ヶ浜に移住し、海の家を営んでいた。2人の距離がぐっと近づいたあの瞬間に食べた焼き芋ももちろん並べて。海音が海に帰る日に持って行くことのできなかった焼き芋を。もう“さがしもの”を探し彷徨うようなことはしたくないのだ。“自分はここにいるよ”とできる限りの極限の近さまで自ら歩み寄り続けているのだ。

 次週、なんと再会までの空白の3年間を描くスペシャルドラマ『恋はもっとDeepに ー運命の再会スペシャルー』が放送されるというご褒美が待っていた。それぞれがそれぞれに“どうしてるんだろうなぁ〜”とふとしたときに頭に浮かぶ存在がいる、だけれども会うことも言葉を交わすこともできない、そんな3年間をどう過ごし、どう“今まで当たり前に近くにいた人”がいない事実に折り合いをつけながら、それでも自分の中の時計の針を止めてしまわずにここまで進めてこられたのか。皆を抱きしめたいような気持ちで3年後の彼らに会いたい。

■佳香(かこ)
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好き。Twitter

■放送情報
『恋はもっとDeepに ―運命の再会スペシャル―』
日本テレビ系にて、6月16日(水)22:00〜23:00放送
出演:石原さとみ、綾野剛
脚本:徳尾浩司
チーフプロデューサー:加藤正俊
プロデューサー:枝見洋子、畠山直人、鈴木香織(AX-ON)、山口雅俊(ヒント)
演出:鈴木勇馬
主題歌:back number 「怪盗」(ユニバーサル シグマ)
(c)日本テレビ系
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/deep/
公式Twitter:@deep_ntv
公式Instagram:@deep_ntv
公式TikTok:@deep_ntv

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