マーベルドラマ『ロキ』押さえておきたい4つのポイント キーとなるのは“マルチバース”?

ドラマ『ロキ』で押さえておきたいポイント

 Disney+のマーベルドラマは、2021年1月から配信が開始された『ワンダヴィジョン』、3月から配信が始まった『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』のいずれも大好評を博してきた。そしていよいよ6月9日から、新シリーズ『ロキ』の配信が開始される。MCUのなかでも随一の人気を誇るキャラクターを主人公とした本作は、今後の映画シリーズにも大きく影響してくるとされる重要な設定も含んでおり、期待値も注目度もこれまでのドラマシリーズ以上であると言えるだろう。そこで今回は、マーベルの新ドラマシリーズ『ロキ』を観るにあたって、押さえておきたい4つのポイントを紹介していこう。

ロキって何者? ヴィランからアベンジャーズの仲間になるまで

 これはすでに説明不要かもしれないが、大切なことなので復習しておきたい。トム・ヒドルストン演じるMCUのロキは、アベンジャーズのメンバーである雷神ソーの義弟で、嘘やいたずらを愛する“邪神”だ。彼はヨトゥンヘイムに住む氷の巨人の長ラウフェイの実の息子だったが、巨人にしては身体が小さすぎるという理由で赤子のころに寺院に捨てられた。神の国アスガルドの王であるオーディンが彼を拾い、養子として迎え入れ、ソーと同じく自らの息子として育てたのだ。ロキは長らくその事実を知らなかったが、『マイティ・ソー』(2011年)で自身の出自を知り、かねてから尊敬と嫉妬の入り交じる複雑な感情を抱いていた義兄を抹殺し、自らがアスガルドの王になろうと画策する。ソーとの激闘の末、敗北を悟ったロキは宇宙の彼方へと姿を消したが、その後、彼は再び義兄とその仲間たちの前に立ちはだかることになる。

『アベンジャーズ』(c) 2012 Marvel & Subs.

 2012年に公開された『アベンジャーズ』に、ロキは再びメインヴィランとして登場した。彼は前回宇宙空間に飛ばされたときに遭遇した宇宙種族チタウリと組んで、地球を侵略しにやって来る。ロキはエリック・セルヴィグ博士やホークアイことクリント・バートンを操り、S.H.I.E.L.D.が保管していた四次元キューブを手に入れ、その力で作り出したワームホールからチタウリを地球に呼び寄せる。この戦いが、結果的にアベンジャーズを結成するきっかけになった。最終的にロキはアベンジャーズに捕らえられ、ソーとともにアスガルドへ戻ることになる。このとき四次元キューブもまた、アスガルドで保管されることになった。

 ソー単独映画2作目『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(2013年)で、ロキはこれまでとは少し違った役割を担うことになる。『アベンジャーズ』のラストシーン以降アスガルドの牢に入れられていた彼は、それでもアスガルドの王座を狙っていた。しかしエーテルをめぐるダーク・エルフとの戦いで心から慕っていた義母のフリッガが命を落とすと、ソーと共闘することを決意。死闘のなかで敵と相討ちになり、ロキは絶命した……と思われたが、これも彼お得意の嘘であり、オーディンに化けて「自由になりたい」というソーの申し出を受け入れるかたちで、体よく彼をアスガルドから追い出すことに成功する。ここではソーに協力するという精神的な成長を示しながらも、最終的には裏切るロキのキャラクター性が再び強調された。

『マイティ・ソー バトルロイヤル』(c)Marvel Studios 2017

 これまでのソー単独作と違い、かなりコミカルな内容になった『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017年)では、オーディンの娘である死の女神・ヘラが封印から長年の解き放たれ、アスガルドを支配しようと目論むなか、かつて彼女に敗れ復讐を誓う女戦士ヴァルキリーがソーに協力を申し出るとともに、ロキを差し出す。同作では彼らの幼少期のエピソードも明かされ、ロキとソーの関係がこれまでになく親密に、兄弟らしく描かれた。ロキはその後ソーやヴァルキリー、ハルクとともにヘラを倒すことに成功するが、その直後にサノスが乗った宇宙船に遭遇。彼らとの共闘も虚しく、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018年)の冒頭で今度こそ本当に命を落とした。

 これまで『マイティ・ソー』と『アベンジャーズ』でメインヴィランを務め、その後『ダーク・ワールド』と『バトル・ロイヤル』、『インフィニティ・ウォー』でヒーローたちと共闘するという役割を担ってきたロキは、嘘と裏切りを重ねながらもどこか憎めないキャラクターとして、その人気を確固たるものにしてきた。そんな彼が主人公のドラマに、期待しないわけにはいかないだろう。

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