TikTokと東宝、タッグの狙いとは? 北村匠海とプロジェクト担当者が語り合う“映画”の未来
映画会社大手の東宝とショートムービープラットフォームのTikTokによる『TikTok TOHO Film Festival 2021』が開催中だ。(応募締め切りは6月14日)
意外な組み合わせの2社によるこの企画は、映画・映像の新たな形を模索し、新時代のクリエイターを発掘・育成するためのプロジェクトだ。TikTokアカウントを持つ13歳以上なら誰でも応募可能で、グランプリ受賞者は東宝プロデュースで新作映像の制作権利と450万円相当の制作費が与えられる。
近年、スマートフォンの普及により、誰もが簡単に映像を制作できるようになり、縦型の新たな映像形態も定着しつつあるなか、伝統的な映像形態である映画を生業とする東宝もこの流れに注目しているようだ。
本企画の意図、そして新たなクリエイターの出現にかける期待について、東宝株式会社映像本部開発チームリーダー馮(ヒョウ)年氏とTikTok Japanマーケティングマネージャーの島田健次氏、そして本企画のアンバサダーに就任した北村匠海氏に話を聞いた。(杉本穂高)【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】
※インタビューは新型コロナウイルス感染症対策を徹底して実施しています。
※マスクを外した撮影も、空間内を最小人数かつ適切な距離を取った形で行いました。
「作品を送り出す側に立てたことがすごく嬉しい」(北村)
――この企画はどのような経緯で立ち上がったのですか。
馮年(以下、馮):近年、あらゆる分野でテクノロジーの進化が凄まじく、映像産業でも動画配信を含め様々なサービスが台頭しています。その中で約2年前からTikTokが流行りだして、音楽産業に大きな影響を与えているのを目の当たりにして、エンタメ業界の端くれにいる者としてこれは放っておけないと思い、1年半前ほどに弊社からTikTok Japanさんに連絡しました。それから何か一緒にできることはないかと話し合いを重ねて今回の企画が生まれたんです。
――東宝さんから打診があったとき、島田さんはどう思われましたか。
島田健次(以下、島田):僕は元々映画好きで、映画に関わる仕事をずっとやりたいと思っていましたから、東宝さんとお話する機会が得られて嬉しかったです。東宝さんと様々な企画について議論し、業界全体をより発展させられる面白いことをやろうということで今回の企画に至りました。
――北村匠海さんにアンバサダーのオファーをしたのはどういう経緯だったのでしょうか。北村さんと馮年さんは『君の膵臓をたべたい』(以下、『キミスイ』)と『HELLO WORLD』で一緒に仕事されていますね。
馮:北村さんとは『キミスイ』のオーディションの時に初めてお会いしました。コロナ禍でエンタメ業界が深刻な状況で、なんとか盛り上げていかないといけないと考えていた時に、TikTokでDISH//の『猫』がすごく話題になっていたんです。僕が北村さんと一緒に仕事していたというのもあったのですが、それを見て北村さんしかいないと思いました。
――北村さんは、今回のオファーを受けて率直にこの企画についてどう思われたのでしょうか。
北村匠海(以下、北村):僕ら役者は台本があった上でキャラクターを作り上げていくのが仕事ですが、もっと作品の骨組みを作るところから関わりたいとずっと思っていましたし、将来的には、映画を撮りたいとも考えています。そのために、『キミスイ』の頃から現場の色んな方に話を聞いたり、宣伝部の方にマーケティングの話を聞いたりしていました。
ですので、今回、アンバサダーという立場で作品を送り出す側に立てたことはすごく嬉しいです。役者は撮影が終われば次の作品との向き合いが始まるので、ひとつの作品に関われる時間は案外短いんです。今回、裏方的な立場で携わることで、僕自身もきっと大きな学びがあるだろうし、色々な作品と出会って新しい発見ができると思うので、数年後に振り返った時に僕の人生のターニングポイントになり得る企画だと思っています。
――ターニングポイントですか。
北村:そうですね。僕は芝居する時に自分を出すことだけじゃなく、俳優として作品全体のパズルの中でどこに位置するのかを重視するタイプなんです。いろんな現場で監督さんとそういう話をすると新鮮だと言われるんですが、自分が前に出ることより作品全体が良かったと言ってほしい。だから、企画のもっと深いところから関わっていける今回のお話はすごくためになると思いますし、いろんな発見があるだろうとワクワクしています。