TikTokと東宝、タッグの狙いとは? 北村匠海とプロジェクト担当者が語り合う“映画”の未来

北村匠海×東宝×TikTokが語り合う

TikTokは“映画”を変えるか?

北村匠海

――北村さんは、普段TikTokをよくご覧になりますか。

北村:DISH//の公式アカウントがあるのでよくお世話になっています。うちの橘柊生(DISH//のDJ担当)はTikTokの可能性にいち早く気づいて「必ずTikTokは流行る、音楽の形が変わる」と以前から言っていましたけど、本当にあっという間に、TikTokから新しい曲が出てくるようになりましたよね。

――TikTokは音楽業界に大きなインパクトを与えたということですが、今回の企画は映画です。映画という分野もTikTokによって変わっていくと思われますか。

馮:映画は誕生してからまだ100年ちょっとで、歴史がまだまだ浅いですから、映画の定義や形式も様々に変わっていくと思います。今回の企画で出てきた映像が映画と呼べるのか、まだ誰にもわかりません。でも、映画と呼べないとも言い切れないと思うんです。

北村:価値観は人それぞれだったりしますよね。例えば、映画でもCM的な演出をする作品がありますけど、それを映画と考えるか映画じゃないと考えるかは人それぞれですし、誰かが「これが正解だ」と決められないものだというのが、今回の企画の核なんじゃないでしょうか。

馮:おっしゃる通りで、僕らは映画館という箱で上映するものを映画と一般的に呼んでいますけど、新しいプラットフォームが出てきた時に、それが映画と言えるかどうか、僕らが決めることではないんだと思います。映画館にしても、今はほとんどフィルムではなくデジタルで上映しているわけで、昔と変わっているわけですから。

島田:今回は「Film Festival」と銘打っていますが、映画祭も形式が変化していて、オンライン映画祭も盛んになっていますし、必ずしも劇場で観るものだけを対象にしていませんしね。それに、今回はせっかく東宝さんとご一緒するので映画というものにこだわりたいと考えていました。公式サイトにもリュミエール兄弟の名前を挙げていますが、敢えて映画史の土台の上にTikTokもあるんだと意識して、過去へのリスペクトをサブテキストに入れています。過去の歴史の上に新しい歴史を紡いでいくというメッセージが伝わればいいなと思っています。

TikTok Japanマーケティングマネージャーの島田健次

――TikTokを観ていて編集のテンポが特徴的だと感じます。編集というテクニック自体、映画から生まれたものですし、そういう意味ではTikTokも映画の歴史の延長にあるものですね。

島田:1980年代にMTVが登場して、映画の編集のテンポも変わっていきましたよね。それが大きなターニングポイントだったように、TikTokのようなプラットフォームが登場すると新しい発想が出てくると思うんです。ここから生まれた新しい表現は、結果的に映画産業にポジティブな影響をもたらすと思っています。

――島田さんは、TV局とのコラボ案件も多く手がけていらっしゃいますが、TV局はあくまでTikTokを番組のプロモーションツールとして用いることが多い印象です。しかし、今回の企画はもっと踏み込んで、ここから新しい才能と表現を見つけようというものですね。

島田:さきほど、北村さんからTikTokが音楽を変えたという話が出ましたけど、大げさに言えばTikTokは音楽をより民主化したとも言えると思います。ギターを習ったばかりのアマチュアの方がTikTokに投稿した弾き語り動画をきっかけにいきなり有名になることがある世界なので、映像も同じように、今までスマホで写真しか撮ったことのない人がドラマを作って有名になれるかもしれない、そういう夢が実現可能なプラットフォームなんです。

馮:参加のための敷居は間違いなく下がりましたね。かつては映画を作るとなればものすごくお金もかかるし大掛かりな機材が必要でしたが、今はスマホひとつで撮影できる時代です。

グランプリ受賞者にかける期待

――TikTokは音楽と相性が良いのはよくわかりますが、映画のように物語をいかに語るかはまだ確立されていないかもしれません。それだけにこの映画祭が重要なのかなと思いました。

島田:それがまだ見えていないというのも、この映画祭をやろうと思った理由の一つです。TikTokは1秒足らずで面白いかどうかを観る人が判断する世界なので、その中で物語を語るためにどんな表現があるのか、だれかが新しい表現を見つけてくれることを期待しています。

馮:TikTokの動画は縦型で短尺ですから、すごく制約があるんです。でもそういう制約があるからこそ、新たな発想が生まれるかもしれないと期待しています。

――グランプリ受賞者には、副賞として東宝プロデュースによる新作映像制作と制作補助費として450万円相当が与えられるとのことです。TikTokの映像としては、この製作費はなかなかの大金ですよね。

島田:どんな人が受賞するかまだわかりませんが、新しい才能や面白いアイディアを持った人を、東宝さんがスタッフィングも含めてバックアップしてくださるとのことですし、しかも浜辺美波さんにも出演していただけるので、きちんと形にするには相応の制作費が必要だと判断しました。

北村匠海

――浜辺美波さんに出演を依頼した理由はなんでしょうか。北村さんとはこれまでにも何度か共演されていますね。

北村:おっ、これは来たなと思いました!(笑)

馮:3度あることは4度あるんですよ(笑)。

――相性がいいということでしょうか。

北村:戦友のような気持ちはありますね。『キミスイ』で、人生初のスタンディングオベーションを一緒に体験したのが美波ちゃんなので。あの体験をして、僕は映画を作る仕事につけて本当によかったと思いましたし、それを一緒に味わった美波ちゃんだから他人事じゃない感覚があります。今回、その美波ちゃんが選ばれたと聞いて、安心感を覚えましたね。

馮:北村さんと浜辺さんは3度も共演していて信頼関係もあります。今回、北村さんが作品を送り出す側をやられるので、彼のその最初の一歩としてふさわしいのはやはり浜辺さんだと思ったんです。

北村匠海

――最後に、まだ応募しようか迷っている人もいるかもしれないので、そういう方に向けてメッセージをお願いいたします。

北村:スタンディングオベーションはなかなか体験できるものではないかもしれないですが、その機会は作品を作らないことには訪れません。ですから、その第一歩をこの機会にぜひ踏み出してほしいです。

 今回は正直、僕らにも、何が失敗で何が成功なのかはわかりません。最終的には、グランプリ作品を選ぶことになりますが、本当は優劣なんかないと思うし、今回の企画をきっかけに多くの作品がTikTokに溢れ、誰かの目に留まるかもしれません。その可能性を信じて飛び込んでみてほしいと思います。

■開催概要 
「TikTok TOHO Film Festival 2021」
• 主催:TikTok、東宝株式会社
• 協力:アドビ株式会社
• 応募対象:13歳以上どなたでも
※個人、グループは問いません。
※応募には TikTok アカウント登録が必要となります。
※応募規約に同意いただいた方。
※授賞式及び新作映像制作に参加できる方
• 募集期間:2021年4月12日(月)0:00~6月14日(月)23:59
• 応募方法:ハッシュタグ「#TT映画祭2021」を付けてTikTokに動画を投稿するだけ(何度投稿してもOK)
• 応募形式:
○ 縦動画推奨サイズ9:16(TikTokで公開設定されているもの)
○ 15秒~10分以内
※1分以上の動画は分割してアップロードしてください。話数がわかるように○/○話のようなチャプターを記載ください。
• 部門:
1.グランプリ(審査員により決定)
2.観客賞(投稿の再生数といいね数等を加味して総合的に評価)
• 副賞(各賞1組):
グランプリ受賞者には東宝プロデュースによる新作映像の制作権利及びその制作補助費のサポートが受けられます。新作は縦型・5分程度の作品を想定、TikTok上他での露出を予定しています
1.グランプリ :新作映画に浜辺美波さんの出演、東宝プロデュースによる新作映像制作サポート(450万円相当)※賞金30万円
2.観客賞:賞金20万円
▪ その他特典:
協力企業のアドビ株式会社より、以下のサポートをご提供いたします。
<参加クリエイター全員>
▪ 映像編集ソフトAdobe Premiere Proの編集ワークショップの実施
▪ Adobe Stock 無料素材の提供
<ファイナリスト10名>
▪ Adobe Creative Cloud コンプリートプラン(12か月版)無料利用の提供
• アンバサダー:北村匠海
• 審査員:三池崇史監督、山田智和監督、しんのすけ(TikTokクリエイター)
• 授賞式:2021年6月下旬~7月中旬、都内にて実施予定
○ 同授賞式会場にて最終結果の発表及び賞の贈呈を実施。
○ 授賞式の様子はTikTok LIVEで生配信を予定。
• 新作映像の制作について(予定)
○ 制作期間:2021年7月~8月
○ 撮影場所:都内
○ 撮影は1日を予定しておりますが、事前打ち合わせや編集作業等にもご参加いただき、共同で新作映像を制作します。日時等につきまして調整の上決定して参ります。
特設ページ:https://activity.tiktok.com/magic/page/ejs/606d26a51d06d202cf5cab94?
公式アカウント:https://www.tiktok.com/@ttff_2021

▼北村匠海 チェキプレゼント▼

北村匠海のサイン入りチェキを1名様にプレゼント。応募要項は以下のとおり。

【応募方法】
リアルサウンド映画部の公式Twitterをフォロー&該当ツイートをRTしていただいた方の中からプレゼントいたします。当選者の方には、リアルサウンド映画部の公式Twitterアカウント、もしくは公式InstagramアカウントよりDMをお送りさせていただきます。

※当選後、住所の送付が可能な方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
※複数のお申し込みが発覚した場合、ご応募は無効とさせていただく場合がございます。

<リアルサウンド映画部 公式Twitter>
https://twitter.com/realsound_m

<応募締切>
6月16日(水)

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