渡邊圭祐が役者として大切にしたいこと 「自分が楽しまないと楽しいものを届けられない」

渡邊圭祐が役者として大切にしたいこと

 俳優デビューから約5年が経ち、数多くの作品で輝きを放ってきた渡邊圭祐。俳優としてのデビューは同世代と比べて実は遅く、意外にもこれまで学生役を演じることはなかった。そんな渡邊が初の学生役として、Kōki,、綱啓永らと果敢に挑んだのが映画『女神降臨』だ。“氷の王子”としてどんな準備をしていたのか。本作への思いから、“大人”になった今だからこその思いまで、じっくりと話を聞いた。 【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】

高校生役に「マジですか!?」「僕でいいんですか?」

――出演発表の際には、「プレッシャーもあった」とコメントされていました。

渡邊圭祐(以下、渡邊):『女神降臨』という作品自体はもちろん、僕が演じた役は原作の韓国webマンガの中でも相当な人気のあるキャラクターなので、その再現度の難しさは感じていました。でも撮影に入ってからは、プレッシャーとは思っていなかったかもしれないです。「氷の王子」の表現もそうですし、矢印が麗奈に向いているときの俊だったり、悠との距離感がある俊だったり、それこそいろんなものが氷が溶けるように変化していく。それを順番通りに撮っていくわけではないので、「一回溶けかけていたけど、また凍る」みたいなことが起こるんです。そのあたりを星野(和成)監督と一緒に考えていきました。

――計算しながら撮影されていたんですね。

渡邊:すごく考えました。2本(前後編)撮るし、人としての成長がすごく大きな作品だったので、PA(音響スタッフ)さんがつまみで音量をいじるように微調整しながらやっていました。それが必要だったからこそ、いつも以上に台本を読み込んだ気がします。

――前後編がある作品ということで、ご自身の中でメリットや新しさを感じた点などはありますか?

渡邊:僕の中では、別の映画を撮っているような気持ちでした。前後編の間で3年経っているので、俊の人柄もだいぶ変わっている。それは麗奈もそうだし、悠なんて歌手としてプロデビューしているわけですから(笑)。完成した映像を観たときにも前編と後編で違うテイストの映画を観ている気分でしたし、撮影のときからそう感じられていたので、僕としては(作品と作品を)縫っているような感覚でした。

――大人になってから高校生役を演じるのは、難しくもあり、面白くもあるのかなと思います。

渡邊:これだけガッツリ高校生を演じるのが初めてだったので、すごく新鮮でした。ただ、麗奈とのシーンはほとんど校外で、存分に「高校生やったな!」と思えたのは文化祭だけだったんです。“屋上で女の子と話す”みたいことも高校生らしくてよかったですけど、文化祭はただただ楽しんでいました。「この熱量だよね~」と感じつつ、「自分が高校生のときも楽しかったな」とも思いながら。

――渡邊さんは20代半ばで俳優デビューされているので、王道ともいえる学園ドラマを通ってないんですね。

渡邊:そうなんですよ。まったく通らずに来てしまったので、今回は楽しかったです。

――「やってみたいな」という思いも?

渡邊:ないわけではなかったけれど、自分の中の候補としては持っていませんでした。なので、思いがけなかったです。「マジですか!?」「僕でいいんですか?」という気持ちでした。

――本作で印象的だったシーンも教えてください。

渡邊:出来上がった映像を見た感想になってしまいますけど、文化祭で俊と悠の絆が見えるシーンがあるんです。僕が麗奈を守っていて、悠を見つけて “ある指示”を出す芝居をしたんですが、映像では指示を出すところが全部カットされていて。ただ目を合わせただけで悠が動いた、というシーンに変わったんです。僕が指示を出したわけではなくて、2人の関係性が出来上がっていたからこそ、目を合わせただけで通じるものがあった。エキストラさんがたくさんいて撮影も大変でしたけど、男同士の絆や友情を感じるシーンに仕上がっていて、すごく素敵だなと思いました。

――撮影中、Kōki,さん、綱さんとはどんなお話を?

渡邊:Kōki,ちゃんとは本当にいろんな話をしました。「昨日帰って何食べたの」とか、内容のない話もたくさんしました(笑)。綱くんはデビューのときに同じタイミングで『仮面ライダージオウ』(テレビ朝日系)と『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(テレビ朝日系)に出演していたんです。いろいろと噂は流れてくるんですけど、本人たちにはイベントで会う程度だったので、当時聞けなかったことをたくさん聞きました。「あれ実際どうなの?」って(笑)。

――(笑)。津田健次郎さんとの共演はいかがでしたか?

渡邊:共演は2回目なんですが、最高でした。もう、カッコいいに尽きる。声はもちろん、チャーミングなところも大好きです。前回はそこまで話せなかったので、今回は津田さんの過去についていろいろと聞きました。20歳くらいの頃に海外を放浪していた話とか、蜷川幸雄さんの舞台についての話とか。たくさんお話させてもらって、「ご飯行きましょう」と約束だけはしたので、いつか叶うと信じています(笑)。

――映画では「自己肯定感」もひとつのテーマとなっています。渡邊さんにはポジティブな印象がありますが、それは意識していることなのでしょうか。

渡邊:どうなんでしょう。もしかすると10代から20代前半くらいまでは、あえて「そうしよう」と思って過ごしていたかもしれないです。でも今はそれが染み付いたのか、特に意識はしてないです。ものすごく楽天的だし、ポジティブな考え方も、今はもう地なんじゃないかなと思います。

――生きていく上で、ポジティブなほうがいいなと思うことはたくさんありますよね。

渡邊:そのほうが幸せに生きられるし、落ち込まないから時間も有意義に使えるんじゃないかなって。立ち止まる時間ももちろん必要ですけど、「次へ次へ」というマインドでいたほうが、なんとなく人生が楽しくなりそうだなと思っています。しかも僕、そういう話をするときにはあえてバカっぽい言葉を使うのが好きなんですよ。「ハッピーじゃない?」とか(笑)。変に難しいことを使うよりストレートな言葉を使ったほうが「こいつ幸せそうだな」と思ってもらえるし、印象操作ですね。でも、実際にポジティブな言葉で何かが変わる気もするので、大切なことだと思っています。

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