『Vivy』が問う、映像における音楽の重要性 『Re:ゼロ』作者ら豪華布陣による挑戦
2021年春アニメは、『シャドーハウス』や『東京リベンジャーズ』『EDENS ZERO』など人気のマンガ原作をはじめ、『聖女の魔力は万能です』や『蜘蛛ですが、なにか?』、『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』など転生もの。さらに『ゴジラ S.P<シンギュラポイント>』や『ODD TAXI』など異色作もずらり。中でもTOKYO MXほかで放送中のTVアニメ『Vivy -Fluorite Eye's Song-』は、単に人気アーティストと作品をくっつけるのとは違う、映像作品における音楽の在り方や、映像作品に与える力の大きさを改めて実感させてくれる。
『Re:ゼロ』作者が生む胸を掴むセリフ
TVアニメ『Vivy -Fluorite Eye's Song-』は、歌で人々を幸せにすることをプログラムされた自律人型AIのヴィヴィが、100年後に起きるAIの反乱を止めるべく、未来からやって来たキューブ型AIのマツモトに導かれながら、さまざまなミッションに挑んでいく物語。『ターミネーター』のような設定ながら、『ミッション:インポッシブル』のような手に汗握るスリリングなアクションが、アニメだからこその壮大なスケールで描かれていく。また、各所で歌が効果的に使われることで、物語をよりドラマティックなものへと導いている。
シリーズ構成・脚本を、TVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』シリーズの著者・長月達平と、アニメ映画『CHAOS;CHILD SILENTSKY』のシナリオ監修や劇場リミックス版『アップルシード XIII』シリーズの脚本などに携わった梅原英司が担当。巧みな設定やストーリーに加え、『Re:ゼロ』のスバルとエミリアのやりとりを彷彿とさせる軽妙なやりとりも魅力。ジョーク好きでおしゃべりなマツモトの「飛べないキューブはただのキューブです」というセリフに、ニヤリとした。「私たちAIはいつまで稼働するかじゃない。どう稼働し続けるかでしょ」や「ヴィヴィは滅びの未来を変えるための、AIを滅ぼすAIです」など、ヴィヴィのAIとしての生き様が表れたセリフには、多くの視聴者がグッと胸を掴まれただろう。
また、物語において重要なファクターとなっているのが歌で、ヴィヴィのほかにもエステラ、エリザベス、グレイスなどさまざまなAIが劇中歌を歌っている。ヴィヴィが歌うオープニングテーマ「Sing My Pleasure」を、第6話では劇中歌としてグレイスのバージョンが使われるギミックがあるなど、物語と歌が絶妙にリンクしており、歌によって物語がよりドラマティックなものへと演出され、映像作品における音楽の力の大きさを改めて実感させる。