『バクテン!!』土屋神葉を支える石川界人ら豪華声優陣の好演が光る 今後は舞台化も?

 オリジナルアニメが豊作な2021年春アニメ。特にコアなアニメファンのみならず、各方面から熱い視線を送られているのが、高校生男子新体操部の青春を描いた『バクテン!!』だ。

 数々の名作を輩出するフジテレビのノイタミナ枠にて放送されている本作は、フジテレビがパートナー各社と共同で取り組む「ずっとおうえんプロジェクト 2011+10」の一環として製作されたもの。東北大震災から10年の節目である2021年に、被災地である岩手県・宮城県・福島県を舞台としたアニメ作品3本を公開予定で『バクテン!!』はその第1弾となる。

 今回舞台となるのは、宮城県岩沼市。中学3年生の夏に男子新体操の大会で私立蒼秀館高等学校、通称「アオ高」の演技を見た主人公・双葉翔太郎が自身もアオ高の男子新体操部に入部し、個性的な仲間たちと競技に打ち込む姿が描かれる。

 第1話から視聴者に強烈なインパクトを残したのは、まさに翔太郎が新体操の世界に魅せられるきっかけとなったアオ高の演技だ。新体操の演技シーンでは人間や物体の動きをデジタル化し、3DCGキャラクターに反映するモーションキャプチャーが使用されており、男子新体操の強豪校・青森山田高校新体操部やプロユニット「BLUE TOKYO」などの選手がアクターとして参加している。だからこそ動きがリアルで迫力があり、新体操に馴染みのない人も翔太郎と同じように新たな世界に感動し、新体操経験者や現役選手からも絶賛の声が上がっている。

 一方で、演技中に会場の照明が落ち、アオ高の選手にスポットライトが当たるという通常の大会では行われない演出も取り入れられた。これは本作で新体操の監修を務めた青森山田高校元監督・荒川栄さんの「アニメのように、全国大会など大きな舞台が、見せ方を工夫して観客を楽しませるなど、もっと魅力あるものになってほしい」との思いが込められているという(参照:【アニメ・ブクロン!!】リアルさ追求した演技シーン/監修の荒川さん(八戸出身)に聞く)。また、舞台となった宮城県の名物である「笹かまぼこ」や岩沼のソウルフード「串たこ焼き」など、地元民が思わず嬉しくなってしまうようなワードが至る場面で散りばめられ、男子新体操や被災地を応援し、盛り上げていきたいという熱意が伝わってくる。

 その気概を最も感じるのが、男子新体操部の生徒たちを演じる声優陣の豪華さだ。主人公・翔太郎を演じるのは、女優・土屋太鳳の弟として知られる土屋神葉。元々俳優としてテレビや舞台などで活動していた土屋は2016年に声優デビューし、同年に高校バレーを題材とした『ハイキュー!!』のTVアニメシリーズで五色工役に選ばれた。

 五色は男子バレー強豪校・白鳥沢学園高校で1年生でありながらスタメンに抜擢される時期エース。アニメ初出演という土屋自身の背景が功を奏し、人一倍バレーにかける思いが強い、ちょっと前のめりなフレッシュさが画面からも伝わってきた。土屋はその後『ボールルームへようこそ』や『荒ぶる季節の乙女どもよ。』など主演作にも恵まれ、今年「第15回 声優アワード」で新人男優賞を受賞。今後の活躍が期待される彼が演じる翔太郎は頼りないところもあるが、素直な性格で先輩や監督からのアドバイスをスポンジのように吸収し、成長を遂げている。

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