青木柚×山脇辰哉×秋元龍太朗、“観たことがないドラマ”『きれいのくに』に出演できた喜び

青木×山脇×秋元『きれいのくに』出演を語る

 よるドラ『きれいのくに』(NHK総合)が最終回を迎える。異色作を連発してきたよるドラ枠が、放送曜日を土曜日から月曜日に移動して最初の作品となった本作。第1回~2回がまさかの劇中劇という驚きの展開から始まり、毎話ごとにながら見が許されない重層的な作品となっている。

 第3回から“主役”となったのが、誠也(青木柚)、凜(見上愛)、れいら(岡本夏美)、貴志(山脇辰哉)、中山(秋元龍太朗)の高校生5人。20代から50代の約8割が同じ顔となってしまった不思議な世界の中で、大人になることとは何か、コンプレックスと向き合うこととは何か、人を好きになることとは何か、といった普遍的なテーマが、5人の生活を通して描かれてきた。

 オーディションによって選ばれた5人の精鋭は何を思い、芝居に臨んでいたのか。“男子チーム”の3人を演じた、青木柚、山脇辰哉、秋元龍太朗に話を聞いた。

心の機微が浮かび上がる加藤拓也の脚本

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ーー写真撮影の様子を見ていると劇中の関係性そのままの仲の良さですね。演じた役柄との雰囲気にも近いように感じました。まずは本作の出演が決まったときの気持ちから振り返っていただけますか。

青木柚(以下、青木):オーディションで選んでいただいたときはびっくりしました。誠也は、元野球部で、強くもなく弱くもない、ちょっと独特な屈折した感じを持っているキャラクター。自分のイメージとは違う強さを持った役だなと思っていたので、まさか決まると思っていなかったんです。最初は自分とはすごく離れているなという印象だったんですけど、演じているうちに、高校生のときに感じていた気持ちと重なる部分がどんどん増えていきました。誠也は、筋の通っていないような行動するところがあって、演じる上でもそのバランスが非常に難しかったです。結局、動機とか理由みたいなものを考えるのも必要だけど、それ以上に、整理されていないような感情を、目の前のものに対峙していくことを大事にすることが一番大事なんだなと。

青木柚

山脇辰哉(以下、山脇):『きれいのくに』はオーディションの時点から加藤さんの演技指導がすごく印象的だったんです。台本上に書かれていないところで、大きな間が生まれてしまったとするじゃないですか。俳優が役に対して合わないと感じたり、俳優と俳優が対峙したときに互いの気持ちが噛み合っていないと感じたり。それに対して、加藤さんは「今どういうふうに思った?」と聞いてくれて、自分がやりたいことと役者がやりたいとことをしっかり埋め合わせてくれるんです。その作業がすごく上手だなと。合ってるよね?(笑)。

青木:うん、うん。

山脇:良かった(笑)。僕が演じた貴志は、高校生5人の中では陽気で明るくて、場を回していくようなキャラクター。この子がいるからこの5人のバランスは成立しているよね、というテンションで役を作っていこうと思ったんですが、撮影が進むにつれてどんどん切ないキャラクターになっていて。貴志の明るさは僕とは別人のようだったんですが、切ない男の子になってからは似ているなと思いました。

山脇辰哉

青木:切ないんだ(笑)。

山脇:僕は“切ない症候群”だから。すぐ切なくなっちゃう(笑)。

青木:その話は結構聞いたね(笑)。

ーーそして、秋元さんは「顔が出ない」(※CGによって稲垣吾郎の顔を合成)という異例の役柄でした。

秋元龍太朗(以下、秋元):僕は今まで演劇を中心に活動していたので、映像だと「顔を出さない」ということができるんだなと(笑)。どんな映像になるかも想像つかなかったので、挑戦的な作品に参加できる喜びがありました。実はオーディションで役柄が決まったときは、まだ稲垣さんの顔になるって知らなかったんです。

山脇:知ったのは第1、2回の仮台本ができたくらいだったよね。

秋元:そうそう。劇中の設定としては、世の中の大人が憧れる顔じゃないといけないし、視聴者の方からしたら誰もが知っている顔でなければ面白さがない。だから稲垣さんと聞いてすごく納得しました。

秋元龍太朗

――男性は稲垣さん、女性は加藤ローサさんの顔が“トレンド顔”となり、街中の人間やポスターが2人の顔となっています。さらに第1回、2回で描かれていた物語が高校生が観ていた啓発映画だったなど、かなりトリッキーな作品となっています。

青木:台本を読んだとき、「なんだこれは、観たことないぞ」とワクワクしました。僕たちが中心となる第3回以降は、設定がファンタジーだからこそ、5人の関係性だったり生活感が嘘のないようにできればと思いました。

――5人の立ち位置は、役柄とは違うのでしょうか。作品の中では、山脇さん演じる貴志が緩衝材の役割を果たしていましたが。

山脇:実際は、秋元くんがみんなの緩衝材。

秋元:へぇー。

山脇:いや、そうでしょ(笑)!?

青木:そうだよね(笑)。リハーサルの時から、(秋元)龍ちゃんがいろいろ気にかけてくれて。お兄さん的な立ち位置でみんなに優しく接してくれて。

秋元:やめて、やめて、そういうのやめて(笑)。僕が26歳で、(青木)柚が20歳、見上愛ちゃんも20歳、山脇くんが23歳(撮影当時)、岡本夏美ちゃんが22歳と、僕だけ少し上なんです。年齢はバラバラだったのですが、幼なじみとしての関係性を築くことが何よりも大事だったので、自然とそうなったんだと思います。2週間のリハーサル期間中は5人全員がその思いを共有できていたかな。

――5人の雰囲気が本当に自然でした。

秋元:加藤さんの脚本は、台詞で何かを説明することがないので、どれだけ役者たちの関係性を浮かび上がらせることができるかが課題でした。それぞれのキャラクターが、どれだけ思っていることを隠して、どれだけ滲み出させることができるか。その塩梅の調整をリハーサルではしっかりやりました。

青木:加藤さんが書く台詞には言葉の裏側に登場人物の葛藤があるんですよね。だから、物語がどんどん立体的になっていくというか。龍ちゃんが言っていたように、何気ない会話の中にも心の機微が浮かび上がっている感じで。台本を読んでいてすごいなと感じてました。

山脇:(青木にかぶせるような形で)って思ってました! 2人が全てを言ってくれたので僕からはなしで(笑)。

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