青木柚×山脇辰哉×秋元龍太朗、“観たことがないドラマ”『きれいのくに』に出演できた喜び
役者魂に火がついた『きれいのくに』
――繰り返しになってしまいますが、脚本と演出も手掛ける加藤さんの魅力はどんなところにあると感じましたか?
山脇:正直な人なのかな。よくないものはいいと言わないし、よかったらよかったって言ってくれるし。作品を作っていく上ですごく信頼できる方だと思います。すごく興味深い人であり、面白い方でもあります。感情があまり表に出ないので、何を考えているか分からないところもありましたね。
青木:確かに、あんまり笑った顔が思い出せない(笑)。めちゃめちゃ人のことを見てなさそうで見ている印象です。台本からも感じることなのですが、加藤さんはこちらの想像力を試すというか委ねてくれるというか。加藤さんの作品に出演するのは今回が2作目なのですが、台本が加藤さんからの挑戦状のように感じました。役者魂に火をつけてくれる、今まで会ったことがないタイプの方です。
秋元:ものすごくいろいろな物事への感度が高い人だと思っています。だから、本作のような心の機微が描けるんだなと。僕は、加藤さん主催の劇団に何回か出演しているのですが、柚が言った通り、毎回が挑戦状なんですよね。加藤さんもどんどん更新し続けているので、そこに毎回追いつくのに必死というか。正直、追いつけているのかどうかすらわからないんですけど。人の本質を見るのに長けているというか、見抜かれている感覚があるんです。その感度の高さからくる物語と人物造形がとても魅力的だと思います。
――本作の制作統括・訓覇圭さんが「ながら見ができないドラマ」と語っていましたが、本当に濃厚な作品になっていると感じます。改めて本作に参加されていかがでしたか?
秋元:第1回からじっくり観ないと分からない作品になっていると思いますし、ずっと観てこそ楽しめる作品になっています。点と線が最後までつながっていく作品なので、最終回も楽しんでもらえたらうれしいです。現場でも勉強になることがたくさんあり、新しい作品が生まれていく過程も体験することができました。そんな作品に参加できたことに改めて感謝したいですね。
山脇:一般的なドラマは、1話の中に起承転結があって、1話1本ですっきり終わるものが多いと思うんです。でも、本作はそうではなくて、1話1話がボディブローのように蓄積されていくというか。最終回を観た後に何が残るんだろうというのは僕自身も楽しみにしています。そんな作品に演者として出演できたことは改めてうれしいです。撮影現場の雰囲気は、作品の生々しさとは反対の暖かさがありました。僕はテレビドラマに出演するのは本作が初めてだったのですが、最初がこの現場で、面白い作品で本当に幸せだなと思いました。
青木:どんな作品でも、自分ができる最大のことをやろうと思っているんですけど、加藤さんの脚本は、ただ演じているだけじゃだめというか、今までにやったことがない感覚がありました。ひとつひとつの積み重ねが作品につながっている感覚というか、自分も作品を育てている一員になれているというか。みんなと新しいものを作っているワクワク感がずっとありましたし、まだまだいろんな可能性があるんだと改めて感じました。本作に参加できたことを本当にうれしく思っています。
■放送情報
よるドラ『きれいのくに』
NHK総合にて、毎週月曜22:45〜放送【全8回】
出演:吉田羊、蓮佛美沙子、平原テツ、小野花梨、橋本淳、加藤ローサ、青木柚、見上愛、岡本夏美、山脇辰哉、秋元龍太朗、稲垣吾郎
作:加藤拓也
音楽:蓮沼執太
制作統括:訓覇圭
プロデューサー:小西千栄子 高橋優香子
演出:西村武五郎、鹿島悠、田中陽児、加藤拓也
写真提供=NHK