藤原樹、役者業で発見した新しい自分 『欲望(蜘蛛の糸のように)』での挑戦を語る

THE RAMPAGEのパフォーマーとして活躍する藤原樹。近年は俳優業でも存在感を示し、2025年1月期ドラマ『あらばしり』(読売テレビ)では主演も務めた。そんな藤原が「新たな挑戦だった」と振り返るのが中川龍太郎監督とタッグを組み、4月4日に日本映画専門チャンネルで放送されるオリジナルショートドラマ『欲望(蜘蛛の糸のように)』だ。欲望に翻弄されていく主人公・神田辰をどう演じたのか。事前の準備から中川監督の魅力までじっくりと話を聞いた。(編集部)
中川龍太郎との新しい挑戦

――本作のオファーを受けて最初にどんな思いを抱きましたか?
藤原樹(以下、藤原):芥川龍之介『蜘蛛の糸』から着想を得た物語を中川(龍太郎)監督が手がけるということで、撮影前から非常に挑戦的なものになると感じていました。僕が演じる神田は“欲望”に翻弄されていく役柄ということで、どんな形でアプローチできるのかと楽しみにしていました。多くの映像作品では、段取りとテストがあって本番という流れが定番なんです。今回はその流れではなく、現場で作り上げていくタイプの撮り方だったので、難しいというわけではないのですが、慣れるまでに時間はかかりました。でも、やっていくうちに、すごくやりやすく感じてきて、撮影が終わるころには、「終わりたくないな、もっとこの環境で撮影したかったな」と思いました。それと、僕は虫が苦手なんですよ。でも、撮影で実際に蜘蛛を触るシーンがあって。撮影に入るまでは、CGでやるのかなと思っていたんですけど、あそこは唯一、神田のやさしさが見えるシーンなので、頑張りました。

――アクションシーンなどもありましたが、実際に演じてみた感想は?
藤原:楽しかったです。中川監督がその場で出した意見によって、変化していくシーンもたくさんありました。監督のアイデアを踏まえて演じてみると、自然と気持ちがつながったりすることも多くて、そこでもやっぱり独特な演出がすごく楽しかったです。監督の演出によって、ほかのシーンとの繋がりに気付けることも多かったです。

――撮影に入る前にどんな準備をされましたか?
藤原:撮影が始まる前に、中川監督からドラマ『傷だらけの天使』(1974年〜1975年/日本テレビ系)を観ておいてほしいと言われたんです。この中で水谷豊さんが演じた役が、神田のイメージに近いからということで。それを観て、水谷豊さんの歩き方や喋り方を参考にして、役作りに活かしていきました。
――アクションの準備は事前にされたんですか?
藤原:事前に稽古がありました。顔合わせの日に本読みをやって、そのあとアクションの稽古と衣装合わせをしました。今までにも、『HiGH&LOW THE WORST X』などでアクションシーンの経験はあったんですけど、そのときは、カッコよくてスタイリッシュなアクションだったんです。でも、今回はカッコよさを追及するものではなく、リアルで泥臭いアクションを求められたので、初めての経験でしたし、そこが少し難しいと感じるところもありました。最初は苦戦しつつも、アクション指導の方とディスカッションしながら演じていきました。実は中川監督も本格的なアクションシーンを撮るのは初めてで、監督としても挑戦だったそうです。殴られたときに、リアルならどうなるだろうと、監督とも話し合いながら演じました。

――撮り方としては、どんな感じだったんですか?
藤原:最初は一気に撮らないと言われていたのですが、いざ始まってみると、最初に撮った屋上のアクションシーンから長回しでした。撮影は今年の2月で、まだTHE RAMPAGEのツアーも始まっていない頃だったので、久々に体を使って、酸欠になりそうになりながら演じました。リアルなアクションになったんじゃないかと思います。
――今回の作品で、想像もつかなかったシーンがあれば教えてください。
藤原:伊藤万理華さんが演じる路美の彼氏が家にやってきて、その彼氏を追い出すために、神田が急に叫び出すという場面があるんです。そのシーンも監督がその場で出した演出が活かされていて、言われたままに叫んでみたんですけど、なかなか「ヤバい奴」という感じになっていて。出来上がりがどうなるのか、楽しみにしているシーンです。台本を読んでいるだけでは神田の「ヤバさ」がそこまで書かれていなかったんです。でも、演じるときは神田のそのアウトロー感を想像しながら演じました。そのほかにも、路美と一緒に急に踊り出すシーンもあるので、それもどのように繋がるのか楽しみです。

――神田が叫ぶシーンを観て、神田にも、この作品にも興味が湧きました。中川監督は、藤原さんの表に見えていない部分を引き出したいと話していましたが、藤原さんが監督に引き出されたと思った部分はありますか?
藤原:すべて引き出してもらいました。普段の僕は急に叫び出すこともないですし、今までの自分では想像できなかった部分まで引き出された感覚で。叫ぶシーンでは、「動物の欲望のように、動物が威嚇するように叫んでほしい」と言われました。言葉では通じない相手を威嚇して追い出してほしいと。それが後々のアクションにもつながってきていると思います。叫ぶシーンは撮影の序盤に撮ったんですが、よくあのタイミングで叫ぶ演出をしてくださったなと思いました。監督のすごさですね。

――そのほか、監督の演出で印象に残ったことはありますか?
藤原:いろいろなことをその場で思いついて演出してくださるのですが、僕の意見で判断していいよとも言ってくれました。強制することもなく、叫ぶシーンもテストでやった上で、納得したところで本番に臨みました。「こういうふうにやってみる?」と聞かれて、僕のほうが無理そうだと思ったときには、その演出は無しになりますし、僕の気持ちを第一に考えて演出してくださいました。


















