『青天を衝け』博多華丸、西郷吉之助として貫禄の薩摩弁を披露 岡田健史のモテ男ぶりも
大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合)第15回「篤太夫、薩摩潜入」では、一橋の家臣となった栄一(吉沢亮)と喜作(高良健吾)が、円四郎(堤真一)からそれぞれ「篤太夫」「成一郎」の新しい名を授かる。さらに、篤太夫として命じられる初仕事は、薩摩藩士・折田要蔵(徳井優)の隠密調査。そこで篤太夫が出会うのが、あの西郷吉之助(博多華丸)である。
「摂海防禦御台場築造御用掛(せっかいぼうぎょおだいばちくぞうごようがかり)」というもはや呪文のような長さの役職名にいる折田もその珍妙なキャラと強烈な薩摩弁が相まってインパクト抜群であるが、それを上回る印象を与えるのが西郷だ。新章に突入した第13回ですでにその名は出ていたが正式に登場するのは今回が初。言わずもがな、2018年に『西郷どん』としてこの大河ドラマでも描かれてきた、言ってしまえば渋沢栄一よりもその知名度は高い偉人である。
鈴木亮平からバトンを受け継ぎ、西郷を演じるのは博多華丸。NHK繋がりでは『あさイチ』(NHK総合)の“朝ドラおじさん”として名高い華丸だが、近年ではドラマ『真夏の少年~19452020』(テレビ朝日系)に出演するなど俳優としても活躍している。華丸が西郷を演じる上での注目ポイントはその薩摩弁であろう。その芸名が示す通りに、華丸は今でも博多弁が強く残る福岡出身。正直に言えば、素人には字幕表示でないと聞き取りが難しいレベルであるが、折田と西郷の薩摩弁ラリーは2人の強烈なキャラも相まって“おかしれぇ”シーンへと変わっていく。
また、栄一と西郷の関わりは史実にもあまり明かされていない部分でもある。周りの薩摩藩士たちは栄一に不信の目を向けるが、西郷だけは栄一を気に入り、薩摩名物の豚鍋を振る舞って彼を見定めようとする。「誰が国を治めるべきか」ーーその問いに栄一は「慶喜」、西郷は「薩摩」と当然意見は相容れない。けれど、共通してあるのは日本の行く末を案じる熱き心。そんな華丸が演じる西郷からは栄一にも負けない力強い眼力が感じられた。不思議と華丸の西郷に見慣れてしまっているのはSNSの反応を見ていても、筆者だけではないはず。本人がインタビューで話しているように、鈴木亮平の演技と比べるべきではないが、華丸も『青天を衝け』の西郷としてハマり役であった。