前田旺志郎の“日常”を意識させる存在感 『おちょやん』で千代と一平と重なる役どころに
『おちょやん』(NHK総合)第16週目「お母ちゃんて呼んでみ」で、千代(杉咲花)と一平(成田凌)と一時的に生活を共にすることになる新派出身の子役・松島寬治として登場するのが前田旺志郎だ。
新派の劇団の座長の子だったが、母親はおらず父親も亡くしたばかりという役どころ。ここまで聞いただけでも一平とかなり似た境遇の持ち主だ。さらに、千代も早くに母親を亡くし、また長く抱えていた父親・テルヲ(トータス松本)とのわだかまりも雪溶けを迎えながら、弟・ヨシヲ(倉悠貴)との関係の完全な修復には至っていない何かと家族について辛い想いを抱いてきた。千代からしても、何かシンパシーを感じてしまうような存在が寬治なのだろう。
前田旺志郎自身も今回の役どころと同じく子役出身だ。元々映画やCMなどに出演していたが、その名を全国区にしたのは何と言っても実の兄・航基と組んだ兄弟漫才コンビ「まえだまえだ」での活躍だろう。『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)でも準決勝進出を果たし、当時全盛期だったネタ番組『エンタの神様』(日本テレビ系)やバラエティー番組への出演が相次いだ。
あの「まえだまえだ」のボケ担当の弟・旺志郎が当然ながら声も変わり今や二十歳を迎え、慶應義塾大学に通う大学生になっているという事実に感慨深い想いを抱く視聴者も少なくないだろう。
前田の朝ドラ出演は本作が2作目となり、『わろてんか』では芸人キースの幼少期を演じた。年齢のこともあって当然だが“〜の幼少期役”を演じることの多かった前田が、見事活躍の場をスライドさせ今や映画やドラマで主演を務める“旬の若手俳優”の顔の1人となっている。