『おちょやん』と『スカーレット』の共通点を探る 父の死がヒロインにもたらしたもの

『おちょやん』と『スカーレット』の共通点を探る 父の死がヒロインにもたらしたもの

 千代(杉咲花)を借金のカタに身売りしようとしたり、千代の全財産を持ち逃げしたり、そもそも小学校にも通わさず9歳で奉公に出した父・テルヲ(トータス松本)。『おちょやん』(NHK総合)の第15週は、身勝手さゆえ“朝ドラ史上最低の父親”といわれるテルヲと千代との別れの場面が大きな反響を呼んだ。

 千代を苦しめる存在でありながら、弱さと不器用な愛情がにじむテルヲ。千代に近づこうとした借金取りに「あいつに指一本でも触れてみい!」と挑みかかるなど、死期を悟って千代との関係をどうにかしようとしていたのは確かだが、父親としては最悪だった。

 朝ドラにはその時代を象徴する理想的な父親だけでなく、ヒロインが乗り越えるべき壁のような存在になったり、身勝手で頼りない自由人がいたり、さまざまなタイプの父親が登場する。その中でもテルヲの人生は壮絶で、こんなにも感情を揺さぶられる親と子の別れを描いた作品というのも、そうそう見当たらない。

 テルヲを演じたトータス松本は「『おしん』(NHK総合)の作造(伊東四朗)のような父親を演じてほしい」とスタッフに依頼を受けたという(参照:トータス松本、『おちょやん』主人公のダメおやじに 「最後は少しぐらい良い人間になるのか……)。ちなみに、作造は山形の貧しい小作農家の9人家族を束ねる父親で、7歳のおしん(小林綾子)を奉公に出す。

 おしんは明治34年生まれのヒロインで、千代よりも4年早く生まれていて、同じ時代を生きたことになる。『おちょやん』では、千代が奉公に出される際、テルヲに「うちは捨てられたんやない。うちが、あんたらを捨てたんや」と気丈に言い放つ別れの場面が印象的だが、『おしん』では、奉公に出されるおしんが雪の中をいかだで川を下っていくのを作造が追いかけて見送るシーンが伝説となっている。

 「貧乏でヒロインを奉公に出す」という共通点はあるが、家族のために働いても貧しい作造と、自分では働かず娘を働かせ、博打で借金を重ねるテルヲでは父親としての意識に大きな違いがある。

 また、しっかり者の娘・千代と貧乏なのに酒ばかり飲んでいるテルヲとよく比較されるのが『スカーレット』(NHK総合)の喜美子(戸田恵梨香)と常治(北村一輝)だ。

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