杉咲花は暗闇を照らす月のよう 『おちょやん』“2人の千代”に見送られ旅立ったテルヲ

杉咲花は暗闇を照らす月のよう 『おちょやん』“2人の千代”に見送られ旅立ったテルヲ

「千代、お前はほんまにお月さんみたいやな」

 それが、本当にどうしようもないテルヲ(トータス松本)が千代(杉咲花)に残した最後の言葉となる。『おちょやん』(NHK総合)第15週では、父親を許すことも憎み切ることもできない娘の苦しみと葛藤が描かれた。

 千代を守るために借金取りと揉み合いになり、警察に連行されたテルヲは接見室で娘にこれまでのことを詫びる。けれど千代を奉公先に送り、何度も自分の借金を背負わせようとしたテルヲの行いは到底許されるものではない。それにもかかわらず、最後に父親らしいことをしたいという独り善がりな思いに千代は苦しめられる。

 自分の元に生まれてきてくれてありがとう、本来ならば子供にとって何よりも嬉しい言葉だ。全部許すことができたらどんなに楽だろう、「お父ちゃん」と笑いかけることができたらどんなに良かっただろう。何年も、何十年も、千代はテルヲを憎む一方で、父親からの愛情を渇望してきた。

 千代はサエ(三戸なつめ)の写真を取り出し、お母ちゃんなら許してくれるかもしれないとテルヲに謝らせる。鼻水を垂らし、肩を震わせながら頭を下げるテルヲに対し、どんな時も自分を支えてくれた母の写真を渡してくれたことだけは感謝していると告げる千代。

「悔しいけど、あんたはうちのお父ちゃんや」

 葛藤の末に絞り出した千代の言葉にテルヲは顔を上げる。しぶといだけが取り柄なんだから、どんな手を使ってでも生き延びてもう一度笑って「お父ちゃん」って呼ばせてみろ。それが千代なりに絞り出した、父親の“罪”に対する“罰”だ。もう未練はないと諦めていたテルヲの目に生気が宿る。そして、いつものような傲慢な顔で「やったろやないけ」と千代に向き合った。

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