『呪術廻戦』第21話、野球回は“神アニメ”の証拠? 作品における日常の尊さ
現在『週刊少年ジャンプ』で連載中、芥見下々原作のアニメ『呪術廻戦』(MBS/TBS系)。3月5日に放送された第21話「呪術甲子園」では、真人が高専から盗んだ物とその意図が明かされる中、中断された姉妹交流会の決着を野球で決めることになった。
“野球回のあるアニメは神アニメ”という噂がまことしやかに囁かれている。それは『涼宮ハルヒの憂鬱』をはじめ、『Angel Beats!』に『侵略!イカ娘』、『CLANNAD』、『サムライチャンプルー』に『Charlotte』、『リトルバスターズ!』、『プリキュア』シリーズと、数を挙げていけばキリがない。そこに『呪術廻戦』が加わったわけだが、唐突の野球回が愛される理由を今週のエピソードを観て改めて理解した。
これまでの『呪術廻戦』は少年院での出来事「呪胎戴天」、真人と順平編の「幼魚と逆罰」、そして本作の「交流会」まで、あまり高専生の人となりを知る機会に恵まれなかった。基本的に彼らは常に呪霊と戦っていて、普段の学生生活の雰囲気や学生同士の交流は描かれない。常に誰が死んでもおかしくない緊張感とストレスのあるエピソードが続く中で、今回唐突に差し込まれた野球回は、そういった中で“唯一”普段のキャラクター同士の絡みを垣間見ることができた。
交流会の決着を野球で決めさせようとする、五条悟。若者に若者なりの青春を送らせることに精を励ます彼のおかげで、血の気の多かった交流会の雰囲気が一転した。恐らく虎杖の花御戦での活躍ぶりを聞いたのだろう。彼を“本気で”殺そうとしていた京都校の面々も、気がつけば彼に殺意を向けることは一切ない。殺されそうになった虎杖も「それはそれ」という具合に尾をひかないのが、とても良い。先週「マイベストフレンド」返しをしてしまったせいで東堂の虎杖に対する執着に拍車がかかってしまった様子は、まるで一度酔った勢いで抱いた相手に記憶がないなか付きまとわれているようだった。虎杖の呪力底上げに一役買った東堂の功績は今後を考えても素晴らしいはずなのに、担任からも「ナイッピー」されてしまう不憫さが可哀想で仕方ない。