『ハン・ソロ』にある“『帝国の逆襲』オマージュ”の数々 スピンオフならではの作風を読む

『ハン・ソロ』過去作へのオマージュの数々

 繰り返しになりますが、映画としては面白かったのですが、いまひとつ『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』ブレイクせず、この後作ると噂されていたボバ・フェットのスピンオフ映画の企画とか一旦キャンセルになります。

 しかし本作で4本の腕を持つパイロット、リオ・デュラントの声を演じているのは『アイアンマン』の監督でもあるジョン・ファヴロー。彼はこの後『マンダロリアン』を手がけます。また本作の監督ロン・ハワードの娘で女優のブライス・ダラス・ハワードは『マンダロリアン』のエピソードをいくつか監督しています。この『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』の流れから『マンダロリアン』が生まれたのかもしれませんね。

 最後にずっと気になっていたことを。この映画の原題は『Solo: A Star Wars Story』であり、邦題のように“ハン・ソロ”とは言っていません。なぜ“ハン・ソロ”というタイトルにしなかったのか? ソロ映画とハン・ソロをかけたのかと思ったのですが、この次に公開された『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』を観た時にもしやと思うことが。『スター・ウォーズ』の世界では名前だけでなくファミリーネームが大事なんですよね。ただこの場合のファミリーネームは「どこの氏・素性か」というより「自分が何者であるか」を決める言霊的意味合いがあります。『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の最後はまさにそういう締めでした。

 だから本作もハンという若者がソロ(一人)とファミリーネームを付けたことで、彼のその後の生き方が決まったということかもしれません。「ハン」以上に「ソロ」の部分が重要だったのです。

■杉山すぴ豊(すぎやま すぴ ゆたか)
アメキャラ系ライターの肩書でアメコミ映画に関するコラム等を『スクリーン』誌、『DVD&動画配信でーた』誌、劇場パンフレット等で担当。サンディエゴ・コミコンにも毎夏参加。現地から日本のニュース・サイトへのレポートも手掛ける。東京コミコンにてスタン・リーが登壇したスパイダーマンのステージのMCもつとめた。エマ・ストーンに「あなた日本のスパイダーマンね」と言われたことが自慢。現在発売中の「アメコミ・フロント・ライン」の執筆にも参加。Twitter

■放送情報
『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』
日本テレビ系にて、3月5日(金)21:00~23:34放送
※本編ノーカット・地上波初放送
※放送枠40分拡大
監督:ロン・ハワード
出演:オールデン・エアエンライク、ウディ・ハレルソン、エミリア・クラーク、ドナルド・グローヴァー、ポール・ベタニー
TM&(c)Lucasfilm Ltd.

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