“アノニマス”はなぜ制裁を続けるのか!? 現実と地続きに存在する“救い”と“絶望”の連鎖

『アノニマス』ネットに蔓延る私刑

アノニマスはなぜ制裁を続けるのか!?

 一気に300万人に言葉が届くさわてぃと、誰にも声が届かない星野。「勝てば官軍」とは、まさにこのことで、多くの人が星野をさわてぃの主張通りに悪者だと決めつけて、攻撃を開始する。

 そうして星野が次第に追い込まれていく中、ネット上にはアノニマスが出現し、さわてぃがネットリンチの常習者であることを公開。このアノニマスの働きかけがあって、そして星野が自らの命と引き換える覚悟を見せることで、ようやく訴えが人々の耳に届く。これが「お前らのやったことの結果だ」そう言って星野は腹に包丁を突き刺した。

 アノニマスの行動は、星野に援軍する形になり、さわてぃに制裁を下した結果になった。だが、これは見方を変えれば、さわてぃの居場所をまた奪ったともいえるのではないか。そして、星野の人生を取り戻すことができたわけではない。アノニマスがしたことは、結局は加害者と被害者を生み出し続ける連鎖を断ち切ることはできていないのだ。

 法や刑罰権に基づいていない制裁なんて許されない。とはいえ、実際にネット上で私刑は行なわれている。情報の一部分だけを切り取って、「こちらが正しい」「こちらが悪い」とハッキリ決められないのは、リアルもネットも変わらないのだ。そして、人々が居場所を求める気持ちも。そこにいる人という存在に救いと絶望を感じることも……。結局は、ネットももう一つの別世界のように見えていたのは希望的観測で、現実の社会と地続きの世界であると教えてくれた第5話だった。

 次週は、ついにアノニマスの存在が『指対』に亀裂を生む。そして、『指対』メンバーの中に、アノニマスがいるのではないかという疑惑まで浮上する。互いの過去の傷を明かし合い、ようやくバディとしての信頼関係を築き始めた万丞と碓井は、このピンチにどう立ち向かうのか。そして、アノニマスの正体とは? 今後も、ますます目が離せない。

■放送情報
『アノニマス ~警視庁“指殺人”対策室~』
テレビ東京系にて、毎週月曜22:00〜放送
動画配信サービス「Paravi」「ひかりTV」にて配信
出演:香取慎吾、関水渚、MEGUMI、清水尋也、山本耕史 シム・ウンギョン(特別出演)、勝村政信ほか
監督:及川拓郎、湯浅弘章、大内隆弘
脚本:小峯裕之、玉田真也、入江信吾
音楽:山下宏明、丸橋光太郎
主題歌:香取慎吾「Anonymous (feat.WONK)」(WARNER MUSIC JAPAN)
オープニングテーマ:アイナ・ジ・エンド「誰誰誰」(avex trax)
チーフプロデューサー:阿部真士(テレビ東京)
プロデューサー:濱谷晃一(テレビ東京)、北川俊樹(テレビ東京)、合田知弘(テレビ東京)、稲垣護、佐藤満、高橋潤
制作:テレビ東京/ギークピクチュアズ
制作協力:ギークサイト
製作著作:「アノニマス」製作委員会
(c)「アノニマス」製作委員会
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/anonymous/
公式Twitter:@txdrm_anonymous
公式Instagram:txdrm_anonymous
公式アメーバブログ:https://ameblo.jp/anonymousblog/

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