高橋一生の『岸辺露伴は動かない』をまだまだ観たい! 驚くべきアレンジを成立させた「D.N.A」

『岸辺露伴は動かない』実写化は大成功

 第2話での「噴上探偵事務所」のチラシや「Joogle」の検索結果に出てきた「マニッシュ君」、志士十五(森山未來)が食べた「Tonio pizza(トニオ・ピッツア)」など、ジョジョ愛に溢れた小ネタは第3話にも。3つのサイコロを振りゾロ目を2回連続出す露伴に、泉が「『イカサマ』してません?」というシーンは、東方仗助とのチンチロリンを思わせるシーン。サイコロを握り耳元で強く揺らす動作は、宇宙人の支倉未起隆がサイコロに変身していないかゲロを吐かせようとする大人気ない行為である。また、真央が轢かれそうになる車が「杜」と舞台の杜王町のナンバープレートにもなっていた。

 言うまでもなく、今回の『岸辺露伴は動かない』の実写化は大成功であった。動きや描写、ビジュアル、言い回し、全てを露伴として自身に落とし込み、ジョジョ愛を持って演技にぶつけた高橋一生を筆頭に、デコボコだけどどこか気のあった露伴とのコンビ役を演じた飯豊まりえ、怪演で視聴者を驚かせた森山未來、“ふんわり彼氏”として優しいムードを放った中村倫也。生粋のジョジョファンもシビれる脚本を手がけた小林靖子に、細かな演出を施した渡辺一貴を中心とした製作陣。全てに敬意を表したい。この3日間で、「今まで『ジョジョ』は読んだことがなかったけど興味を持った」というようなツイートを数え切れないほど見てきた。「くしゃがら」の袋とじが頭にできるように……ではないけれど、伝播していった好奇心の種から多くの人が荒木飛呂彦作品に触れるのかと思うとワクワクしてならない(連載中の『ジョジョリオン』は今がクライマックスです)。

 そして、飯豊まりえがツイートしている「続編、、希望!!!」は多くの視聴者の願いでもあろう。車に轢かれそうになる真央を間一髪で助けた露伴が口にする「まったく……僕が鍛えてる漫画家でよかったよ」というセリフは、『岸辺露伴は動かない』のエピソード「ザ・ラン」を彷彿とさせる言葉でもある。小林靖子はインタビューで「六壁坂」を実写化したいと教えてくれた(参考:『岸辺露伴は動かない』脚本・小林靖子が大事にした荒木飛呂彦イズム 「台詞に“ッ”を入れちゃう」)。またこのキャスト、製作陣が集まった『岸辺露伴は動かない』は「きっといいヤツ」なのだから。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
『岸辺露伴は動かない』
NHK総合にて、2021年1月4日(月)〜6日(水)再放送
出演:高橋一生、飯豊まりえ
第1話ゲスト:柴崎楓雅
第2話ゲスト:森山未來
第3話ゲスト:瀧内公美、中村倫也
原作:荒木飛呂彦『岸辺露伴は動かない』
小説:北國ばらっど『岸辺露伴は叫ばない 短編小説集』所収「くしゃがら」
脚本:小林靖子
音楽:菊地成孔
演出:渡辺一貴
撮影:山本周平
照明:鳥内宏二
録音:高木創
美術:磯貝さやか
編集:鈴木翔
人物デザイン監修:柘植伊佐夫
制作統括:鈴木貴靖、土橋圭介、平賀大介
制 作:NHK エンタープライズ
制作・著作:NHK、ピクス
(c)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社
(c)NHK・PICS

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