『岸辺露伴は動かない』が原作ファン以外も必見のワケ NHKならではの重厚なサスペンスに期待
高橋一生主演の特集ドラマ『岸辺露伴は動かない』(NHK総合)が12月28日22時より3夜連続で放送される。
荒木飛呂彦原作の漫画『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズ(以下、『ジョジョ』)から派生した『岸辺露伴は動かない』シリーズの実写化として、“ジョジョ”ファンからも大きなリアクションが相次いだ本作。原作ファンを公言していた高橋一生が、主演としてちょっと風変わりで、リアリティを何よりも重んじる漫画家の岸辺露伴を演じる。
原作ファンであり、本作の脚本家・小林靖子へのインタビューも務めたライターの渡辺彰浩氏は、原作ファンである本作への期待値の高さをこう語る。
「脚本の小林さんは『仮面ライダー』や『スーパー戦隊』など特撮シリーズの数々の作品を担当されていることでも有名ですが、なにより『ジョジョ』のアニメシリーズの脚本家も務めており、ファンの間では“神”的な存在です。ですから、最初の放送発表がリリースされた10月の時点からファンの間でも話題を呼びました。さらに、12月に公開された予告編の、高橋一生さんが演じる露伴の名ゼリフ「だが断る」のシーンや、アニメシリーズで露伴の声優を務めた櫻井孝宏さんがナレーションを務めていたこともあり、盛り上がりはさらに加速しています。ファンの間では露伴のスタンド=ヘブンズ・ドアーがどう再現されるかが懸念されていましたが、予告編を観ると、スタンド自体は映さないで人間を読み書きできるようにする本の能力だけを描写しているんです。これも、実写映像化する上でよりリアリティーを高めるのにうってつけの方法だったと思います。映像を観る限り、高橋一生さん演じる露伴の再現度もすごく高く、制作陣のジョジョ愛を感じます」
そもそも、『岸辺露伴は動かない』はファンにとってどのような作品なのだろうか。渡辺氏は次のように解説する。
「『ジョジョ』のある種スピンオフ的な作品として位置付けられます。荒木先生は、『週刊少年ジャンプ』のみならず、『別冊マーガレット』や『SPUR』などでも執筆していて、最初に執筆された1997年から20数年にかけて各誌で書いていた短編を集めた作品が『岸辺露伴は動かない』です。『ジョジョ』シリーズはスタンドを活かしたバトル漫画的側面が強いですが、『岸辺露伴は動かない』シリーズは、露伴が漫画を描くネタを探しているうちに不思議な現象に遭遇するというサスペンス・ミステリー的作風で、より映像化しやすいと言えるかもしれません。重厚なサスペンスという意味で、NHKらしさも発揮しやすいのではないでしょうか」