『おちょやん』の“語り”がドラマにもたらす効果 朝ドラ常連・桂吉弥の暖かな目線を堪能

『おちょやん』の“語り”がもたらす効果

 本作で黒衣であり“語り”を担当するのは落語家の桂吉弥である。自身も噺家で上方落語界では早くから実力派として注目されていたが、彼の人気をさらに押し上げたのは朝ドラ『ちりとてちん』への出演だった。不器用だが人一倍落語愛の強いヒロインの兄弟子・徒然亭草原を好演した。なんと『おちょやん』への出演が朝ドラ出演6作目になり、大河ドラマ『新撰組!』でも新選組隊士として起用されていた。本作での“語り”でもあらすじを落語で説明したり、無声映画の活弁風の語り口があったりと、噺家としての彼の器量が存分に生かされて舞台を鑑賞しているかのように楽しめる。そして、毎話発される「千代ちゃん」が本当に優しく温かく、最後まで何としてでも千代の行く末を一緒になって見守りたい、千代の応援団の一員になりたいという気にさせられるのだ。

 土曜日のダイジェスト版では、犬や猫が黒衣を纏ったイラストが突如画面上に現れ、それと“語り”がリンクするのもまた可愛らしい。“語り”自体が一つの人格を持って近くで千代を見守り応援してくれている様子が視覚的に伝わり楽しい。

 ゆくゆく女優になった千代と黒衣との舞台上での共演があるのか、気が早いが想いを馳せてしまう。

■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥、中村鴈治郎、名倉潤、板尾創路、 星田英利、いしのようこ、宮田圭子、西川忠志、東野絢香、若葉竜也、西村和彦、映美くらら、渋谷天外、若村麻由美ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/

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