『監察医 朝顔』が描く伝え続けることの大切さ 加藤柚凪演じるつぐみが物語の中心に

『監察医 朝顔』つぐみが物語の中心に

 上野樹里が主演を務める『監察医 朝顔』シーズン2(フジテレビ系)が、11月9日に第2話を迎えた。

 ドラマが始まる前のジャンクションは、桑原(風間俊介)とつぐみ(加藤柚凪)が2頭のイルカをバックに「このあとすぐ!」と視聴者に笑顔で呼びかける、一瞬でほっこりとする映像。そんなかわいらしい告知が示す通りに、第2話の中心にいたのは朝顔(上野樹里)の一人娘・つぐみだった。

 とは言っても、朝の食卓にも、1日の疲れを癒すお風呂の時間にも、いつも家族の中心にはつぐみがいる。言い換えれば、物語の中心と言った方が正解だろう。シーズン1から、つぐみは平(時任三郎)に幼稚園の送り迎えをしてもらっていたおじいちゃん子。夜遅くに帰ってくることが多い桑原はつぐみの面倒をなかなか見ることができていないことを気にしていた。そんな時にやってきた朝顔の代役。朝顔と遊ぶ約束をしていたつぐみはすっかりご機嫌斜めだ。桑原が切り札として出したのが、つぐみが行きたいと言っていた水族館。つぐみはその言葉に何も言わず、スクッと立ち上がる。

 「い~っ! ヒヒヒ! うわ~!」。笑顔で水族館を走り回るつぐみ。初めて見るエイの大きさに驚き、ショーではイルカと握手をして、プニプニの頭を触る。桑原とつぐみのツーショット写真に、朝顔も一安心。だが、その直後に訪れるつぐみの“おしっこ”に桑原は大慌て。そんな珍しくも微笑ましい一コマが、家族にとってのかけがえのない時間だ。

 「今度はママと水族館行きたい」「いいよ、行こう」「じゃあ、明日!」。1日の終わりの何気ないやり取り。朝顔は翌日、東北の仙ノ浦に向かう予定があった。つぐみにもきちんと伝えないといけない。その場にいる桑原も平も、きっと思いは同じだ。朝顔はゆっくりとつぐみに向かって話し始める。

 ママのママを捜しに行くこと。つぐみが生まれる前に大きな地震が起きたこと。大きな波にたくさんの人たちがさらわれてしまったこと。ばあばも波に連れていかれてしまってどこにいるか分からないこと。

 じっと母親の顔を見つめるつぐみに、朝顔は涙ながらに語りかける。戦争の恐ろしい体験を今も後世へと伝える人々がいるように、我々は震災の記憶を途絶えさせてはならない。今は全てを分からなくてもいい。伝えることに意義があるのだと、朝顔の涙はつぐみを通して、我々視聴者に優しく語りかけているような気がした。

 「早くばあばに会えるといいね」。平を見上げ話しかける純粋無垢なつぐみの一言は、里子(石田ひかり)を捜し続ける朝顔たちを照らす希望の光だ。

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