新ドラマが受けた新型コロナウイルスの打撃 物語の世界観に与える影響は?

新ドラマが受けた新型コロナウイルスの打撃 物語の世界観に与える影響は?

 新型コロナウイルスの影響で撮影休止となり、中断されていた春クールのドラマが夏クールにずれ込む形で再スタートしているのだが、違う世界の出来事を見ているかのように感じてしまった。

 コロナの世界的流行が起こらずに東京オリンピックを控えたもう一つの日本。SF風に言うならば、平行世界(パラレルワールド)を見ているようで、複雑な気持ちになる。

 どのドラマも初回はコロナ前に撮影されたものであるため、外出してもマスクを着用しておらず、ソーシャルディスタンスにも無頓着であることに違和感をあるのだが、多くの視聴者は「ドラマなんて、そんなもんだろう」と、軽く受け流しているのだろう。

 むしろ、コロナと関係ない世界がそこにあることに「癒やし」のようなものを感じているのかもしれない。その意味で、現実とのズレがダメージになりかねないのは、今クールのドラマで言うと『MIU404』(TBS系)のような現代性にこだわりのある作品だ。

現実にフィクションが追い抜かれてしまった現状

『MIU404』(c)TBS

 『MIU404』は警視庁刑事部・第4機動捜査隊という架空の部署を舞台にしたバディモノの刑事ドラマ。第1話が「煽り運転」、第2話が人質をとった犯人の「移動立てこもり」に労働問題が絡むというもので、脚本家の野木亜紀子が同じスタッフと共に2018年に手掛けた『アンナチュラル』(TBS系)を彷彿とさせる社会派ドラマとなっている。

 第3話には『アンナチュラル』に登場した刑事も登場するため、どうやら同じ世界観の話のようだが、そういった設定上の遊びや、綾野剛と星野源を中心とした大胆なキャスティングは楽しいのだが、題材がコロナ以前に問題になった事件なので「コロナがなければ、もっと楽しめたのに」と思ってしまった。

 第1話に登場した監視カメラの撮影時間が2019年の4月だったため、物語上の問題はないのだが、現代性が魅力の作品なだけに、現実の側がズレてしまうと、こんなに印象が変わるのかと考えさせられた。

 今後、2020年を舞台にした同時代的な作品に修正してくることを期待したいが、『アンナチュラル』の第1話がコロナ禍を予見するようなパンデミックの話だっただけに、現実にフィクションが追い抜かれてしまった現状を、突きつけられたように感じた。

作品のモチーフが結果的にマッチ?

『私の家政夫ナギサさん』(c)TBS

 一方、同じTBS系で火曜22時から放送されている『私の家政夫ナギサさん』は、医製薬会社の営業職の女性・相原メイ(多部未華子)と家政夫のおじさん・鴫野ナギサ(大森南朋)の交流を描いたドラマ。

 同枠で大ヒットした『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)の影響を強く感じる作品だが、汚い部屋を片付けることで自分のライフスタイルを見つめ直すというモチーフは、換気や消毒といった衛生管理に多くの人々が意識的になっている現状と結果的にマッチしていると感じた。  

 「片付けコンサルタント」のこんまり(近藤麻理恵)の番組がブームになったり、筋トレやダイエットといった健康に対する意識は年々高まっていたため、そういった背景をしっかりと押さえていたのが功を奏したのだろう。外を歩くメイがマスクを着用している場面もあり、緩い見せ方ではあるものの、コロナ禍に対応しようという意思も感じる。

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