町田啓太が放つ、唯一無二の“品の良さ” イケメンキャラからぶっ飛びキャラまでこなす稀有な俳優に

町田啓太が放つ、唯一無二の“品の良さ” イケメンキャラからぶっ飛びキャラまでこなす稀有な俳優に

 4月から放送されている『ギルティ~この恋は罪ですか?~』(読売テレビ・日本テレビ系)や、5月3日から6日まで、1000人限定でオンライン上映が行われる映画『前田建設ファンタジー営業部』に出演している町田啓太は、今やドラマや映画には欠かせない存在だ。NHKドラマ10『女子的生活』の後藤役、NHK大河ドラマ『西郷どん』の小松帯刀役なども記憶に新しい。本稿では、彼の印象的な最近の出演作を振り返ってみたい。

『前田建設ファンタジー営業部』

(c)前田建設/Team F(c)ダイナミック企画・東映アニメーション

 この作品は、アニメ『マジンガーZ』の地下格納庫兼プールを実際に作ってみたらどうなるかと社内でチームを作り、最初は、そのメンバーたちも乗り気ではなかったが、ひとりふたりと、そのプロジェクトの魅力にのみこまれていくという物語だ。

 企業ものの作品というと、利益を追求するという明確な目的に向かって一丸となって突き進むものが一般的だ。しかし、『前田建設ファンタジー営業部』は、あくまで「やってみよう」というものが出発点であり、ボランティアで半分冗談でスタートしたような挑戦、しかも実際に地下格納庫兼プールを作るのではなく、あくまでもその設計図と見積もり書を完成させるという目標に、次第に全員が本気になっていく。その点において、本作は「企業もの」作品としても非常に新鮮であった。ある意味、「部活もの」に通じるものがあったように思う。

 町田啓太はこの作品の中で、掘削オタクのヤマダを演じる。いつも作業服、髪は無造作で伸びっぱなし、好きな掘削の話になると、早口でまくしたてるという役を演じている。彼のもとに話を聞きにいったエモト(岸井ゆきの)からは、土質のヤマダなんて人は、きっと「モグラみたいなやつだよ。ああいう……今土から出てきました、みたいな」と予想をされたのち、現れた姿を見て、その通りだったという表情をするのだった。

 いまどき、自意識を誰もが意識しているこのご時世に、一切人目を気にしたりするところがなく、単に好きなものに没頭しているヤマダのような人物というのは、いるにはいるだろう。しかし、それを誇張することなく演技をするのは、非常に難しいように思う。それを、さらりと演じているところが印象に残る。

 また、町田啓太というと、ハンサムなことを誰からも認められているような役者だと思うが、その華をまったく消し去り、“土”のような地味な男性を演じているのだ。しかし、町田のような容姿端麗の人でも、自分に無頓着であったりすれば、地味で「土のような」生き方をしているような人生も現実に存在していそうだな……と思わせる説得力があった。

『螢草 菜々の剣』

 NHK BSで放送されたのち、NHKの地上波でも放送された時代劇『螢草 菜々の剣』は、武士の娘で今は奉公人をしているヒロインの菜々(清原果耶)が、父を死においやった男に大勝負を挑むという物語だ。

 その中で町田は菜々が奉公している風早家の主・市之進を演じている。市之進には佐知(谷村美月)という妻がいたが、病に倒れ、彼女は菜々に市之進と子供たちを託して亡くなった。

 市之進は、藩の実力者である轟平九郎(北村有起哉)に謂れのない罪で追い込まれる。平九郎は、市之進に対して「当たり前のように日の当たる道を歩んでいた」「あの育ちのいいまっすぐな男」を陥れたいという気持ちを抱いていたのだった。

 市之進は、この「育ちのいいまっすぐな男」という表現がまさにぴったりな男で、ぴったりすぎるがゆえに、人の嫉妬を買ってしまう。ここでも、町田啓太の「確かに、このセリフにぴったりな人だな」と思わせるものがあった。

 妻の佐知の死後、菜々はほのかに市之進に思いを寄せているのだが、市之進には縁談の話が舞い込んでいた。華やかで家柄も申し分のない縁談相手と自分を比べてしまう菜々に対して、市之進は、「私は、鉢植えの菊より、どこにでも咲いてる、蛍草のほうがいい」と語る。

 このセリフは、菊のような縁談相手よりも、蛍草のような菜々のほうがいいという、気の利いたさりげない告白だ。こうした素朴でいながら、まっすぐな告白が説得力を持って聞こえるのも、照れもなくさらりといえる唯一無二の品の良さと、どこか奥ゆかしい感覚が町田にあるからだと思う。

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