学園ドラマから本格ラブストーリーへ 山崎賢人、横浜流星、菅田将暉の次のフェーズに注目
これまでに数多くの少女マンガが実写化されてきたものだが、それらの作品の多くで核となっているのが“学園ドラマ”だ。少年少女たちはそれぞれの学園を舞台に、さまざまな恋模様を展開させてきた。恋するヒロインの相手役は山崎賢人、横浜流星、菅田将暉といった若手俳優が担い、作品をヒットに導いてきたが、今年の彼らは本格ラブストーリーの公開を控えている。
とうぜん、学園ドラマでヒロインの相手役を務めてきたのはこの三者だけはないが、ここではあえて、彼らに注目したいのだ。三者三様、タイプの違う三人だからである。といっても、彼らはこれまで高校生役だけを演じてきたわけではもちろんないし、すでに学園が舞台ではない作品で恋物語に身を投じていたりもするのは、多くの方が知るところだろう。
山崎賢人といえば、マンガ実写界の王子ともいえるほど、相当数の作品でヒロインの相手役を務めてきた。『L・DK』(2014年)、2016年公開の『オオカミ少女と黒王子』『四月は君の嘘』などはいわゆる“胸キュン”な作品だが、少年マンガの実写化作品でも活躍。昨年公開の『キングダム』では手に汗握るアクションを披露し、その熱量で超大作を率いる存在とまでなった。いずれもがマンガ原作の作品で、はじめこそは彼のルックスが放つイメージに重なる役どころばかりを担ってきた印象だが、そこで地道に力をつけてきたのではないだろうか。それらを積み重ねてきたことで、その根強いイメージを、かえって払拭するまでになったものと思えるのだ。それはテレビドラマで主演を張るレベルにまでなったことからも分かるが、文芸作品を実写化した『羊と鋼の森』(2018年)での彼の佇まいも記憶に新しい。
公開中のラブコメディ『ヲタクに恋は難しい』は、これまたマンガの実写化作品とあって安定の期待感をもっていられるが、注目すべきは4月17日公開の『劇場』である。又吉直樹の同名小説を原作に、脚本を劇団「モダンスイマーズ」の蓬莱竜太が務め、行定勲監督がメガホンを取ったという手堅い布陣。この中で山崎は、ヒロインを演じる松岡茉優とのラブストーリーを展開させていくのだが、どんなレベルでの大人な姿を見せてくれるのか。これは一つのターニングポイントともなりそうである。