『伝説のお母さん』“モブ夫”に非難殺到! 憎めない愛嬌を漂わせる玉置玲央の表現の幅

『伝説のお母さん』“モブ夫”に非難殺到! 憎めない愛嬌を漂わせる玉置玲央の表現の幅

「ああああああああ モブすげえムカつくううううううう」
「モブ夫むかつく。お口パッカン開けてゲームする横面張り倒したい」
「モブ夫、無能すぎ」
「取り敢えずモブくんにお亡くなりいただこう」
「魔王よりモブくんやっつけたい…と言うお母さん多いのではw」

 これらは、2月1日にスタートした『伝説のお母さん』(NHK総合)で、前田敦子演じる「伝説の魔法使い」メイの夫・モブ(玉置玲央)に向けられたTwitter上でのつぶやきだ。おそらく今クールのドラマで、女性視聴者たちを最もイラつかせるキャラではないだろうか。

 同作は、かねもと原作の同名コミックのドラマ化で、待機児童やワンオペ育児など、“無理ゲー”な問題が山積する子育てを「ファンタジーなのにリアル」に描くという、ロールプレイング子育てストーリー。

 第1話では、8カ月の赤ちゃんを抱えるメイのもとに魔王討伐の依頼がきたものの、保育所に空きはなく、実家の母は遠方で頼ることができず、悩んでいると、突然モブが会社をクビになり……という展開が描かれた。

 一見、渡りに船の状況だが、「俺が専業主夫になれば良いってことだろ?」「育メンとか、今流行ってるし、なんかカッコいいじゃん。俺に任せろって」と笑顔で快諾するモブの安請け合いぶりには、嫌な予感しかしない。

 そして、メイが赤ちゃんをモブに預け、伝説のパーティ再結成のために少し留守にしていた間に、案の定、赤ちゃんは大泣き。モブときたら、「作り方わかんねえ」「むずくない?」という理由で離乳食もあげず、「おしっこならまだいいけど、うんちのオムツ替えるの、男にはハードルたけえだろ?」という理由でオムツも替えず、ヘッドフォンをしたままゲームをしているのみで、挙句、「子育てとか、無理でしょ。俺、向いてない」と言ってのける。さらに、トドメはこのセリフだ。

「やっぱ考えたんだけどさー、仕事はお前じゃなくても良いじゃん。でもさ、子育てはさ、絶対に男親じゃなくて、母親のほうが良いと思うんだよ。母親のかわりは、誰にもできないだろ?」

 なぜか「良いこと言った」感を出した後、すぐさま口をポカーンとあけてゲームを続行する姿には、激しい怒りを覚えた女性が多かったことだろう。その一方で、呆れと疲れで脱力し、思わず渇いた笑いを放った女性もいたのではないか。

 このクズ夫のモブを愛嬌たっぷりに演じる玉置玲央が、とにかく巧い。決して暴力的だったり高圧的だったりするわけではなく、態度は明るく軽く、実にソフトなのだ。赤ちゃんのことも可愛くないわけではないのだろうが、ただちょっと頼りなくて、調子が良くて、自分本位で、おこちゃまなだけ……というのが、いざ子どもを持ってみると、一番タチが悪いというリアルを、痛烈に感じさせる。

 なぜなら、言動はいちいち腹立たしいが、そこに悪意はなさそうに見えるし、背を丸めて両膝の間に手をはさんで喋る姿を見ると、怒りづらい気もするし、無邪気にゲームをする姿は、うっかりすると愛らしくも見えてしまう。おそらく子どもを持つ前、あるいは結婚する前だったら、こうした子供っぽさや自分勝手さも、女性にとって可愛く見えることがあるだろう。そして、世に数多いる、何もできない・やらない夫のことを「うちの大きな長男」などと呼んで許してしまう女性たちの心理も、ここにある気がする。

 そして、そうしたどこか憎めない愛嬌を漂わせることで、単なる「頼りない、無能な夫」で終わらせないところが、玉置玲央の表現の幅であり、それが地上波ドラマで観られる贅沢さを噛み締めずにはいられない。

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

音楽記事ピックアップ