パートナーでオスカー像を争う! N・バームバック×G・ガーウィグの“自伝”にとどまらない豊かな創造性

N・バームバック×G・ガーウィグの作家性

 1月13日、第92回アカデミー賞のノミネーションが発表された。今回のオスカー作品賞候補作に名を連ねたのは、ノア・バームバック監督『マリッジ・ストーリー』とグレタ・ガーウィグ監督『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』。バームバックとガーウィグはこれまで数々の共同創作を行っており、私生活でもパートナーとして知られている二人だ。公私ともに現役パートナー同士の監督が作品賞を争うのは、アカデミー史上初となる。

 両者の作品に出演し『マリッジ・ストーリー』では自身も助演女優賞のノミネートを果たしているローラ・ダーンは、その関係性を「彼らは別々の作品に取り組んでいるときでも、華麗に協力しあっている」と話しているのだが、現在の映画界を牽引する映画監督パートナーが互いに及ぼす影響とはどんなものだろうか。

ノア・バームバックとグレタ・ガーウィグ、その出会いと歩み

 ウェス・アンダーソンとの共同脚本執筆作『ライフ・アクアティック』(2004)で注目を浴び、監督作『イカとクジラ』(2005)でアカデミー脚本賞を獲得したバームバックと、マンブルコア運動(2000年代のインディペンデント映画シーンを台頭したジャンルの一つ、若者の日常をリアルに描く内容が特徴)の“イット・ガール/ミューズ”として知られていたガーウィグが出会うきっかけとなったのは、2010年にバームバックがメガホンをとった『ベン・スティラー 人生は最悪だ!』だった。

 同作に出演したガーウィグが、主演とともにバームバックと共同脚本を執筆した2012年の『フランシス・ハ』はアメリカで当初4館だった上映規模を233館にまで拡大するなど、批評家のみならず観衆からも強い支持を受ける。

 その後もNYで挫折を経験しながら互いに支えあい生きる女性たちの姿をコメディタッチで描く『ミストレス・アメリカ』(2015)で共同製作・脚本執筆するなどコラボレートののち、バームバックはダスティン・ホフマンやエマ・トンプソンら豪華出演陣を主要キャストに迎えた『マイヤーウィッツ家の人々』(2017)など、そしてガーウィグは自身初の単独長編作品『レディ・バード』で女性監督として史上5人目のアカデミー監督賞候補となり、それぞれの才能を発揮させ高い評価を得るフィルムメイカーとなった。

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