広瀬すずと松岡茉優は、女優としても対極の存在に 『ちはやふる』出演から3年で驚くべき飛躍

広瀬すずと松岡茉優は、女優としても対極の存在に 『ちはやふる』出演から3年で驚くべき飛躍

 末次由紀による原作漫画『ちはやふる』最新刊の43巻は、ついに主人公・綾瀬千早とクイーン・若宮詩暢の直接対決という大一番を迎えている。日本テレビ系列で放送されているアニメもやがてそれに追いつくだろう。しかし、実写映画のキャストをもう一度集めてそれを実写映画で描くのは、もしかしたらやはり難しいのかもしれない。実写映画『ちはやふる』の興行収入は三作で約40億円にのぼる大ヒットを記録した。だが、かつてそこに出演した、当時大半が無名だった若手俳優たちは、たった3年でとてつもなく成長してしまった。もう一度スケジュールを調整して集めるのが困難なほどに。

『ちはやふる -結び-』(c)2018 映画「ちはやふる」製作委員会 (c)末次由紀/講談社

 当時から知名度と人気があった野村周平は、『純平、考え直せ』『WALKING MAN』など、優れた映画への出演を重ね、着実に実力を伸ばしている。当時ほとんど知名度のなかった真剣佑は、綿谷新から名字をとった新田真剣佑と改名し、去年のオリコン写真集販売ランキングで、男性タレントで唯一ランキングするほどの人気となった。矢本悠馬のバイプレイヤーとしての躍進は朝ドラから映画と留まるところを知らない。上白石萌音は国民的ヒットとなった『君の名は。』への声優を皮切りに大活躍、森永悠希は『青の帰り道』『羊と鋼の森』などの映画でその演技力を存分に発揮している。優希美青や佐野勇斗は映画出演で主演やヒロインを堂々と張っているし、清原果耶はまだ高校在学中でやや芸能活動をセーブしている面がありながら、その演技力と存在感で早くも将来の朝ドラ女優を嘱望される存在になっている。

『ちはやふる -結び-』(c)2018 映画「ちはやふる」製作委員会 (c)末次由紀/講談社

 しかしなんと言っても、この3年間に女優として爆発的な躍進を見せたのは、主人公・綾瀬千早とクイーン・若宮詩暢を演じた、広瀬すずと松岡茉優だろう。3年前、初の主演映画に抜擢された広瀬すずと、(その実力に対して驚くべきことに)まだ主演映画がなかった松岡茉優は、この3年間でもはや芸能界の中でまったく違う存在に「化けて」しまった。『ちはやふる -下の句-』が公開された当時、僕はやや興奮気味に彼女たちの将来性について「10年後の観客は広瀬すずと松岡茉優がかるたで勝負するこの映画を驚きをもって振り返ることになるのではないか」と書いた記憶がある。10年どころか、たった3年でそれは現実になってしまったわけだ。

『万引き家族』(c)2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.

 2018年5月、『ちはやふる -結び-』の公開がまだ続いている当時、松岡茉優はカンヌでレッドカーペットの上を歩いていた。是枝裕和監督に「各世代で一番上手い役者を選んだ」と抜擢された出演作『万引き家族』は日本映画として21年ぶりに最高賞パルムドールを受賞。その前年末に公開されていた初主演作『勝手にふるえてろ』は、松岡茉優の演技力を知らしめる作品として映画ファンにカルト的支持を集めていたが、樹木希林や安藤サクラとともにカンヌで『万引き家族』の受賞会見に臨む彼女の姿は日本中のニュースで報道され、その存在を広く強烈に知らしめることとなった。

 2018年3月17日にLINELIVEで放送された『ちはやふる -結び- 初日舞台挨拶スペシャル』の中継の中で、小泉徳宏監督は松岡茉優に卒業証書を渡しながら(イベントは出演者への卒業式を模した形式で行われた)、「あなたは自分で思っているよりもっとすごい人です。自分を過小評価しているんじゃないかと思う」という言葉で彼女を励ました。松岡茉優がカンヌでレッドカーペットを歩き、日本中のスポットライトを浴びるその二ヶ月前のことである。

 小泉徳宏監督はまたその場で、松岡茉優が子役からの芸能活動で『ちはやふる -下の句-』で第8回 TAMA映画賞・最優秀新進女優賞ならびに第40回山路ふみ子新人女優賞を受賞するまでほぼ受賞経験がなかったことにも触れ、「あなたに最初の映画賞をあげることができたのを誇りに思う」とも語った。正確に言えば松岡茉優は2015年に第25回 ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 ニューウェーブアワード 女優部門を受賞してはいるのだが、それはその年に新設された新人の将来を奨励する賞で、松岡茉優が小泉徳宏監督に答えたように、「演じた役に対して映画賞をいただくのは初めて」ということだったのだろう。言うまでもなく『ちはやふる -下の句-』以後の松岡茉優は、『勝手にふるえてろ』『万引き家族』で日本中の映画賞を席巻することになる。

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる