笠松将、初めて明かす“役者”への思い 「1番になるまでは絶対にやめられない」

笠松将、初めて明かす“役者”への思い

 映画『響 -HIBIKI-』(2018)や『デイアンドナイト』(2019)などで、存在感を見せている、俳優・笠松将。2013年から俳優活動を始め着実にキャリアを積み、先日放送されたドラマ『平成物語 ~なんでもないけれど、かけがえのない瞬間~』(フジテレビ系)では、主演の山崎紘菜の相手役として物語を牽引し、その実力が多くの人の知られるところとなった。

 映画・ドラマに活躍の場を広げ続ける笠松将は、今何を考えているのか。俳優への道を踏み出した経緯から、今後の展望までじっくりと話を聞いた(編集部)。

90%の人が「この芝居をやるだろうな」という芝居は極力したくない

笠松将

ーーここ最近、目覚ましい活躍で、「あ、また笠松将が出てる」という声も聞こえてきます。ご自身では何か変化を感じますか?

笠松将(以下、笠松):まだ現場で名前を間違えられることもありますし、本当に何も変わらないです。僕のことを必要とし現場の方が呼んでくださることもありますが、そうではない方にとっては、「見たこともない子」という感じです。オーディションで落ちることも多くあります。それに今、危険な時期だとも思っています。僕のことを少し気にしてくれている方がいると、自分が必要とされているような気になりますが、全然そうじゃない。そういった意味で、今の立ち位置を間違えずに自分の存在を刻んでいかなきゃいけないと、改めて感じています。

ーー最近はどういう経緯から作品に出演することが多いですか?

笠松:オーディションが多いです。「この役どうですか?」と言ってもらうことも少しは増えましたが、正直、自分が望むような役ではありません。それでも、監督やプロデューサーが、“本当に僕のことを求めてくれている”と感じた時は、もちろん全力で応えます。最近のことではないですが、「笠松君にやって欲しい」と言われた役が、こちらからすると「絶対そうじゃないだろ」というものもありました。何故なら名もなき“男子学生A”の役を、1日前にオファーって……(苦笑)。正直そういう時は、セリフは絶対に飛ばしませんが、相手の熱意程度の芝居しか、あえてしないです。だけど、そうではない人たちの熱量を感じると、本当にちょっとの役でも一生懸命やります。「そんな役どころで監督に意見するの?」というようなポジションでも、なにか面白いことが浮かんだら言います。

ーー監督に意見をすることもあるんですね。

笠松:台本から読みとくことのできる、1番正解の芝居ってたぶんあると思うんです。でも、「この台本を読んだら、90%の人がこの芝居をやるだろうな」という芝居は極力したくないんです。そうせざるを得ないこともあると思いますが、普通だったらやらないようなことを少しずつ入れていきたい。2、3シーンしか出ない役のほうが、逆に色々とできたりすることが多い。だからそこは、確認しながら監督とも話をします。それを喜んでくれる方もいれば、そんなの必要ないという方もいますけど。

ーーそれはやっぱり作品を見ているだけだと、なかなか分からないところですよね。ただそういう「熱」の部分は、笠松さんに対して抱いていたイメージどおりです。

笠松:そうやって、ちゃんと自分のことを見てくれている人がいるんだということが嬉しいです。

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『平成物語』には書類すら出さない予定だった

ーー少し前に放送された『平成物語』は、平成生まれが集まって制作された作品ですが、キャストからスタッフまで同世代が揃う現場というのは、ほかの現場と何か違いはありました?

笠松:いい意味で、ピリピリしていない印象でした。みんな自分のやることはスパッとやって、人のやることには口を出さない感じが良かったです。色んなものの決め方とかも早かったですし、ストレスを感じることや、衝突もなかったです。みんなが互いにやりやすい環境を作ろうとしていました。でも正直撮影中は、「これ面白いのかな?」と思うこともありました。例えばアクションがあるわけでもないし、派手な展開があるわけでもない。なかなか地上波ドラマではやらないような作品です。なので、そこに対する不安はありましたが、仕上がったものを観たら本当に面白かった。現場で感じていたもの以上に、いい作品が生まれたと感じました。

ーー笠松さんの好演に胸を打たれました。あの役はオーディションですか?

笠松:オーディションですが、もともとは一次選考の書類すら出さない予定でした。

ーーというと?

笠松:「『平成物語』にかける想いを書いてください」という指定があったのですが、僕は白紙で出したんです。「やる気がないなら(書類を)出さないからね」とマネージャーから言われました。でも僕の中で、文字を埋めることでオーディションに受かるのであれば、どれだけでも埋めますけど、白紙で出したからといって落とされるようなオーディションなら参加したくない。オーディションって基本的に選ばれる側にあると思われがちですが役者の僕らだって選んでいるんです。だから“選ばれている”なんて、思ったことないです。もちろん受かったら、「選んでくださりありがとうございます。芝居で精一杯返します」と感じますが、オーディションで出会うまでは、互いに何の関係もないと思っています。

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