笠松将、“悪役”ポジションで頭角を現す 『3年A組』『デイアンドナイト』で発揮する特異な存在感
山田孝之がプロデューサーを務めた『デイアンドナイト』で、大きな存在感を示している者がいる。高身長でがっしりとした恵まれた躯体と、切れ長の眼が印象的な俳優・笠松将である。作品ごとに高い柔軟性をみせ、このところ急激に頭角を現しつつある存在だ。
現在26歳の笠松は、2013年頃から俳優活動をスタート。まだデビューから5年ほどの若手俳優の一人だが、映画、ドラマ、CM、ミュージックビデオと、メディアやジャンル、作品規模を問わず、その活動は多岐に渡り、出演作数もかなりのものである。最近では、放送中の『3年A組 -今から皆さんは、人質です- 』(日本テレビ系)第4話で、物語のキーとなる半グレ集団・ベルムズの一人として登場し、その印象が強く残った方も多いだろう。これまでにも笠松は、いわゆる“悪役”を数多く演じてきた。
星野源が主演した『連続ドラマ Wプラージュ~訳ありばかりのシェアハウス~』(2017・WOWOW)で見せた、歯止めの聞かない“凶暴性”のリアル。悪たれどもの大活劇『デメキン』(2017)では、いまや若手俳優の中でも抜きん出た存在である伊藤健太郎と山田裕貴を相手に、半グレ集団のトップを演じ、残虐非道で冷酷無比なキャラクターを血の通ったものに仕上げていた。安全であるはずの客席からスクリーンの中で跳梁する笠松の姿を見上げ、思わず激しい嫌悪感を募らせたものである。それほどまでに彼の演じる“悪役”は、あまりに過剰で過激なキャラクターでありながら、説得感あるリアリティを湛えているのだ。
そんな笠松が『デイアンドナイト』で演じるのは、夜な夜な裏稼業に精を出す若者といった役どころ。しかし、先に述べてきたような粗暴なキャラクターではなく、やんちゃで無鉄砲ではあるものの、愛嬌たっぷりな“あんちゃん”といった存在だ。思いがけず犯罪の片棒を担ぐことになり、自身の「正義」のため、やがてはその裏稼業の中心ともなっていく主人公・明石幸次(阿部進之介)を、彼はチームに迎え入れる存在でもある。若いゆえの思慮の浅さは感じるものの、なんとも憎めない好人物を、無邪気で快活な笑顔で嬉々として笠松は演じている。物語が大きな展開を迎えざるを得ないときに、彼自身の見せる大きな変貌ぶりもまた、鮮烈な印象として脳裏に焼き付くことだろう。