笠松将、“悪役”ポジションで頭角を現す 『3年A組』『デイアンドナイト』で発揮する特異な存在感

笠松将、“悪役”ポジションで頭角を現す 『3年A組』『デイアンドナイト』で発揮する特異な存在感

 しかし今作だけでなく、昨年大きな話題を呼んだ『響 -HIBIKI-』での笠松の姿も思い出していただきたい。彼が演じたのは、主人公・鮎喰響(平手友梨奈)が所属する高校の文芸部の不良・塩崎隆也だ。異端児である響とは物語の冒頭で対立し、まさかの彼が返り討ちに。彼女の異常さと天才性を証明し、観客を作品世界へと誘導するきわめて重要なポジションであった。この作品でも、序盤の荒々しい姿から後半にかけて変化していく様子が見られるのだが、映画化に際しての原作からの改変により、彼のキャラクターの扱われ方が控えめとなっていたのが少々惜しいと感じられた。

 笠松はこれらの規模の作品だけでなく、初主演を務め、国内の映画祭を賑わせた短編映画『ぼくらのさいご』(2015)をはじめとし、自主制作映画にも多数意欲的に参加して表現力を培ってきた印象もある。この作品では男子中学生に扮し、実年齢より大きな開きがあるものの、思春期にある少年の心の機微を繊細に演じ上げていた姿が思い出される。また、小林太郎の『響』や、在日ファンクの『或いは』などのミュージックビデオでは、表情や佇まい、身のこなしだけで楽曲の世界観や物語性を体現。これらは彼の被写体としての魅力だけでなく、表現力の高さの証明だとも取れるだろう。

 自主制作映画や数多くの作品への出演によってキャリアを積み、運命的な作品との出会いによって、一気にスターダムを駆け上がっていく俳優も多い。そのラインには綾野剛や椎名桔平らの名が挙げられるのではないだろうか。

 その特異な存在感で悪役として引く手あまたの笠松だが、じわじわと知名度も獲得していく中、さらなるハマリ役・アタリ役を得て、次なるステージに進んでいく姿に注目したい。

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■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。

■公開情報
『デイアンドナイト』
全国公開中
監督:藤井道人
プロデュース:山田孝之
出演:阿部進之、安藤政信、清原果耶、小西真奈美、佐津川愛美、深水元基、藤本涼、笠松将、池端レイナ、山中崇、淵上泰史、渡辺裕之、室井滋、田中哲司
配給:日活
(c)2019「デイアンドナイト」製作委員会
公式サイト:https://day-and-night-movie.com/

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