『3年A組』事件の真相に近づくが新たな疑問も浮上 前半戦クライマックス突入で物語が大きく動く

『3年A組』前半戦クライマックスに突入

 先週の第3話のラスト、5名の生徒が柊(菅田将暉)によって殺されたと思いきや、その中の1人、景山澪奈(上白石萌歌)のフェイク動画の素材となる動画を撮影し自ら“犠牲者”に志願した里見(鈴木仁)は、自分を含めた5名全員が生きていて、それどころか1日目の夜に教室で殺されたはずの中尾(三船海斗)と再会する。1月27日放送の日本テレビ系列日曜ドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』第4話は、前半戦のクライマックスに突入し、これまでの大まかな“ネタバラシ”が一気に駆け抜ける形で幕を開けた。

 先週の放送の際に筆者は「もしかしたら生徒全員(澪奈の死に関与したと柊が思っている生徒を除く)がグルなのでは」と推論立てたが、どうやらそれは見当違いだったようだ。しかしながら「どうやって柊は五十嵐(大友康平)と会うために昇降口に出たのか?」という疑問は、美術準備室の奥に下の階に向かう秘密の通路があることが明らかになったことで、おそらくそこから出入りできるのだと判断できる。ではなぜ、中尾たちはその下の階の教室(爆破されて封じられているのは3年A組の教室があるフロアーだけだ)から外へ出ないのかという、新たな疑問が生じてくる。

 今週のエピソードのラストでは、茅野(永野芽郁)がこっそりと美術室に忍び込み、殺されたはずの生徒たちが生きていることを教室にいる他の生徒たちに告げる。そこでようやく柊がこの一連の事件を起こした理由を語ろうとするも、突然倒れ込んでしまい、その“真相”はお預けとなる。しかしながら、その“真相”、おそらく柊という教師の3年A組の生徒たちに向けられた熱の入った想いが、中尾たちを引き留めるだけの力を持っているということは間違いないだろう。個人的にはサイドストーリーとして美術準備室(の下の階)の生徒たちの中に何が起きていたのか、是非とも観たいところだ。

 いずれにしても、今回のエピソードで大きく物語が動きを見せたことは言うまでもない。突然登場し、一気に物語をかき混ぜた半グレ集団“ベルムズ”の存在。そしてクラスの中心的存在である甲斐(片寄涼太)が、家族を支えるための金銭と引換えに“ベルムズ”に協力したこと。クラス全員を解放することを条件に柊にタイマンを挑んだ甲斐が抱えていた想いを知り、激怒しながらも友情を確かめ合う石倉(佐久本宝)の存在。そして、“ベルムズ”のリーダーとの何らかの接点があることをにおわせた諏訪(今田美桜)。クラスの中で悪目立ちするタイプの“不良生徒”が物語を面白くさせるというのは、やはりこのドラマが毅然とした“学園ドラマ”であるという何よりの証明だ。

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