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安藤サクラ×長谷川博己に社会人こそ共感? 『まんぷく』は人生論・組織論を学べる朝ドラに

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 朝ドラ『まんぷく』(NHK総合)は10週目を迎え、波乱万丈の萬平(長谷川博己)、福子(安藤サクラ)夫婦の人生と会社もようやく軌道に乗ったと思いきや、ピストルを持った進駐軍の登場という衝撃の展開である。『龍馬伝』(NHK総合)の福田靖脚本が、まるで大河ドラマのような内容の濃さに、朝ドラならではの温かいホームドラマとしてのユーモアを加えている。さらには、安藤サクラ、長谷川博己、松坂慶子はじめ、特筆していたらキリがないほどの多くのキャストのこれ以上ない好演、熱演が相まって、毎朝15分、愛すべき登場人物たちと共に一喜一憂する毎日である。

 いつも萬平を陰に日向に支え、常に彼が進むべき道すじと手段を指し示し、夫のピンチとあれば自ら交渉に出向く福子の“スーパー内助の功”に感服するのはもちろんだが、このドラマの魅力はそれだけではない。なにより、父親の育児任せっきり問題など現代を生きる私たちの人生にも直結する様々な問題に、登場人物たちがどう向き合っていくのかが興味深い。1日15分のテレビドラマで、決して押し付けるわけではなく、人生論や夫婦論、マネジメント・組織論をここまで学ぶことができる朝ドラは、今まであまりなかったのではないだろうか。

  気になるのは、桐谷健太が実に小憎らしいキャラクターを好演している、立花夫婦に利益と災いの両方をもたらす男・世良である。彼の存在は、同じ経営者である萬平の生き方と対になっている。

 26話で世良は、「金のないやつから安く買い叩いたものを、金のあるやつに高く売る」ヤミ業者に限りなく近い自分のビジネスを、萬平と福子たち家族に意気揚々と説明する。困惑する福子に、彼は「このご時勢ええやつも悪いやつもあるかいな、今は不公平の時代」と開き直る。何もかもが不自由な時代において、世良のようにあくどい商売でのしあがっていく人もいれば、その日食べるものもない人もいる。運と才覚によって、うまく立ち回れた人間のみが「不公平の勝ち組」にのし上がれる。そうやって、“親友”と言いながらも状況次第で簡単に萬平をも裏切る男は、混乱を極める戦後を逞しく、調子よく生き抜いてきた。

 一方、世良と正反対の萬平は、困っている人を目にすると、彼らをなんとかして助けることができないかということをまず考える。そして、その世間のニーズに応えることが結果的に利益に繋がっていくという方法で、紆余曲折はあったものの、順調に商売を成功させてきた。

 この対照的な2人の経営者の「不公平の時代」における処世術は、現代と繋がるものがある。世良のような考え方がまかり通る時代だからこそ、世良とは対極の、人が良すぎる萬平と、彼の行動を支える福子の姿が余計眩しく見える。そしてそれこそが、理想の経営の形と言えるのだろう。

      

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