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『コウノドリ』には愛しかないーー困難を乗り越える登場人物たちが教えてくれること

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 『コウノドリ』第9話では、登場するキャラクターたちが、それぞれが抱える困難や壁にぶつかるも、確実に一歩ずつ踏み越えていく様子が描かれていた。

 何度かの流産を経験し悩んでいた篠原沙月(野波麻帆)は悲しみを夫婦の絆で乗り越え、光が見える状況になった。四宮春樹(星野源)は肺がんで倒れた父・晃志郎(塩見三省)に代わり、早期胎盤剥離の疑いのある妊婦の緊急帝王切開に踏み切って笑顔を見せ、救命に異動した下屋加江(松岡茉優)も救急で運ばれた妊婦を咄嗟の判断で救ったし、今までペルソナの絶対的守護神のような存在だった今橋貴之(大森南朋)でさえ、今後のキャリアについて発言する場面があった。

 『コウノドリ』は出産を巡る医療の現場を描いたドラマだが、決してその当事者たちだけが共感できるドラマにはなっていない。壁にぶち当たり挫折したときに、どう立ち上がるのか、悩みや不安を抱えながらどう前を向いていくか。誰もが経験するそうした普遍的な問題を、登場人物たちが地に足をつけて乗り越えていく姿に、本作の魅力は詰まっているのではないだろうか。

 登場するキャラクターについて改めて考えてみると、鴻鳥サクラ(綾野剛)、四宮、小松留美子(吉田羊)、下屋、白川領(坂口健太郎)、赤西吾郎(宮沢氷魚)……全員、とても優しい人たちだ。サクラのあの聖母のように患者に寄り添う姿はもちろん、四宮もあの不躾な態度の裏には赤ちゃんと妊婦を何があっても守りたいと思う強い気持ちが隠れている。下屋や白川も情熱のあまり時に暴走する場面もあるが、素直で努力家で一生懸命だ。

 サクラをはじめ、四宮も今橋も、上にいる立場のキャラクターは皆いい指導者でもある。第1話に登場した佐々木蔵之介演じる荻島も、四宮の父もそうだ。荻島は自らの強い意志を持って医療に向き合うことで、後輩であるサクラたちに命や仕事の尊さを伝え、今橋は白川が小児循環帰科に異動したいと希望を言った際、「白川先生の夢を応援してあげたい」と喜んで背中を押した。四宮の父も、自分の代わりに手術を執刀した息子に対してありがとうと握手を求めた。

 つまり、『コウノドリ』には愛しかないのだ。愛情こそが人を変え、支え、育み、繋いでいく。この人生におけるある種の答えを、それぞれのエピソードから伝えてくれているからこそ、誰にとっても響くドラマになったのではないだろうか。人生、成長、命ーー。すべての人にとって、身近で、最も尊いテーマである。

      

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