【漫画】小説家が生きるのに必要なものは? 小説家 × 編集者の歪なバディ『妄執女と芥川』にゾゾゾ

【漫画】小説家が生きるのに必要なものは?

 不器用な生き方をする小説家の、生きる意味は「感想」をもらうこと。小説家の欲求を利用する編集者は、“ある提案”を持ちかけ……。

 小説家と編集者が歪なタッグを組み小説界に新たな風を巻き起こす漫画が、Xにアップされた。本作は漫画家・鈴木二三江(@fuming_e)氏が「カドコミ」にて連載中の、『妄執女と芥川』の第1話だ。

 今回は鈴木二三江氏に、本作の創作のきっかけやこだわりについて話を聞く。(青木圭介)

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『妄執女と芥川』(鈴木二三江/KADOKAWA)

ーー本作を創作したきっかけを教えてください。

鈴木二三江:きっかけは、バディ漫画を描きたいなと思ったことです。そのうえで私は映画とか漫画とか創作物全般が好きで、創作をする仕事でバディ系ないかなと探し、描いてみたいと思ったのが小説家と編集者でした。

ーー主人公である不破の生きる意味に「感想」を選んだ理由は?

鈴木二三江:本作はメインの登場人物がコミュニケーションが苦手なイメージで描いていて、主人公はその筆頭だと思います。なので主人公はコミュニケーションが苦手でありコミュニケーション不足でもあります。通常他者との会話でその不足を補うんですが、それができない主人公は小説でその不足を補えないかと無意識に試みている形です。小説の通常は一通なんですが、ユウちゃんからあまりにも自分が欲しかった言葉である感想を受け取ったことにより、「感想」に執着するようになりました。

ーー生きづらさを抱えながらユウちゃんの感想に縋る不破を描くうえで、こだわったことを教えてください。

鈴木二三江:主人公は、とにかくコミュニケーションが上手くできない人間を描こうと意識しています。小説というモノは、作者の独り言に近いモノだと私は思っているんです。

 少し話はそれるかもしれませんが、面白い小説は編集者と作家の共同作業でも書けると思っています。薬師丸が登場したことで主人公は、編集者との「打合せ」というコミュニケーションを、ユウちゃんに会えるというにんじんで濃密に、本心でおこなうことを強制されるんです。編集者との小説執筆を通して自己表現が上手くなっていくような、そういった小説との関わり方をする主人公になるよう心がけています。

 あとは「ユウちゃんから感想が欲しい」という行動動機は、ブレないようにしていますね。ユウちゃんから感想をもらうことを第一に考えた選択を、いつでも主人公はしているはずです。

ーー不破とタッグを組む編集者・薬師丸のキャラクターはどのように考えましたか?

鈴木二三江:薬師丸は子供として描いています。ガワは大人なくせに欲望は子供なので、ちぐはぐな感じがでるようにしていますね。

ーー本作のなかで、鈴木二三江氏自身が気に入っているポイントを教えてください。

鈴木二三江:37ページに主人公を真ん中に描いた見開きがあるんですけど、通常見開きの場合真ん中に重要な絵を配置しないんです。紙だと潰れてしまいますし、電子(スマートフォン)で読む場合は片面ずつになるので読みづらくなってしまいますよね。

 でもこのページの「裂ける潰れる」というセリフの感覚を読者の方にも感じてほしくて、ここでは意図的に真ん中に主人公を配置しました。電子で読むと見開き表示でも裂けてしまう(中心に線が入ってしまう)場合があり、紙で読むと潰れてしまうようになっています。ここは意識して描いたポイントですね。

ーー鈴木二三江氏が漫画を描き始めたきっかけは?

鈴木二三江:小学生の頃、家の近くに個人でやられている古本屋があったんです。そこで漫画をすごく読んで、漫画が好きになりました。そのときから漫画家になりたいという気持ちはずっとありました。当時アパートに住んでいて隣に住んでいた女の子とよく遊んでいたんですけど、お絵描きをよくしていた記憶があります。

ーー最後に、今後はどのような漫画を描きたいですか?

鈴木二三江:アンドレイ・タルコフスキー監督の映画『惑星ソラリス』を観て、他者に対する最上級の好意の形は「鏡」になるのではないかと思ったので、そういった他者との境界線が曖昧になる依存関係の漫画を描きたいです。

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