映画『90メートル』ノベライズ本刊行へ 中川駿監督の半自伝的作品

映画『90メートル』のノベライズ本が発売

 3月27日公開の映画『90メートル』のノベライズ本(文藝春秋)が2月4日(水)に発売された。

 『90メートル』は、人生の岐路に立つ高校生の息子と、難病を抱えながら我が子の希望ある明日を願うシングルマザーの揺るぎない愛を綴った感涙物語。映画『少女は卒業しない』や『か「」く「」し「」ご「」と「』が高く評価された新進気鋭の監督・中川駿渾身のオリジナル企画で、母親を看病した経験を持つ監督が、自身と自身の母を重ね合わせてキャラクターを作り上げ、半自伝的映画を生み出した。公開にさきがけ、文春文庫よりノベライズ本が発売。小説では内に秘めた心情までもを描く。

 映画『90メートル』の主題歌は、大森元貴による書き下ろしのソロ楽曲「0.2mm」。優しく語るように歌い上げるミドルテンポのバラード曲で、2月24日(火)にソロ活動5周年を記念してリリースされる1st Mini Album「OITOMA」に新曲として収録。

 難病を抱えた母・美咲(みさき)と2人で暮らす高校3年生の藤村佑(たすく)を演じるのは、スタジオジブリの『君たちはどう生きるか』で主役声優の座を射止め、ドラマ「ちはやふるーめぐりー」など話題作への出演で注目を集める山時聡真。母・美咲を演じるのは、自身も子育て中であり、『ディア・ファミリー』『近畿地方のある場所について』と母親役が続く菅野美穂。

 山時聡真は「僕が演じた藤村佑はバスケットボールに打ち込む普通の高校生です。それは僕の高校時代と同じ感じでした。何の心配もなく、楽しく過ごしていた日々の生活がある日突然、または徐々に奪われていく。そこからこの物語は始まります。自分のやりたいことを押さえ込み、世の中と距離を取りながら生きていくしかない現実。それは誰にでも起こり得る事であり、実際に多くの方が直面している現実でもあると思います。佑の抱えている思いを100%理解しているかといえば、正直わかりません。しかし、佑として生きていく中で、自分自身との葛藤、母親の想い、沢山の方の優しさを感じました。今後の僕の人生を支える大切な糧になりました。お母さん役の菅野さんは現場でとても明るく、誰に対しても気さくで、常に親しみやすい距離感を保ちながら接して下さいました。お芝居は毎シーン、鳥肌が立つような感覚があり、姿勢や表現力にもすごく影響を受けました。それを一番近くで受けとめられたのは大きな財産になりました。中川監督は、一つ一つの演出がとても丁寧で、それでいてまず僕たちに考えさせ、挑戦をさせてくれました。迷った時には時間をかけて真摯に向き合って下さいました。何より、監督とは本当に感覚が合います。言葉にしなくても通じ合える瞬間が多くあり、撮影終わりに「今日は最高だった」と声をかけてもらえると、心底、嬉しかったです。90メートルという距離。それは長いのか、短いのか。遠いのか、近いのか。答えは人それぞれ違うと思います。この作品を観て、その答えを見つけていただけたらと思います。公開を楽しみにお待ちください。」とコメント。

 母親役の菅野美穂は「それぞれが健気に生きているのに、でもどうにもならない現実に向き合わなければならない過酷さに、胸がつまりました。多感な10代で自分の事でも精一杯なのに、人生を考えなければならないやるせなさ、子どもを思う母の気持ち、どちらも分かって深く共感しました。山時さんとは今回初めてご一緒させて頂きましたが、作品を拝見していて、目に引き込まれる演技をなさるなぁと感じていました。お会いして、幅広く演じられる方だと感じました。中川監督は映画への真摯で真っ直ぐな強い思いが清々しく、頼りになる監督でした。私がニュアンスを汲み取れない時もじっくり待って下さいました。映画は気づいたら涙が頬を伝っていて、人生は困難だけれど、人は優しいと感じさせてくれる作品になっていました。」とコメント。

 監督・中川駿監督は「主人公の藤村佑と母の美咲は、僕と僕の母をモデルに作っています。佑役を演じた山時聡真君は、若い頃の自分を見ているかのように感じることが多くありました。もちろんそれだけではなく、役に対する真摯な姿勢や素直で明るい人間性に、一緒に作品作りをする仲間としてとても助けられました。美咲役を演じた菅野美穂さんを一言で形容するならば『圧倒的』でした。菅野さんのお芝居は僕のような若輩者が語るのは畏れ多いほどに素晴らしかったですし。一流の俳優とはかくあるべし、というのを色々な面から見せていただけたように思います。本作での菅野さんとの出会いが、僕の今後の監督人生に大きく影響していくだろうなと感じています。」とコメントした。

 映画主題歌を歌う大森元貴は「映画だけど現実的で、強さのある作品だと思いました。その強さには胸が締め付けられる瞬間もありましたが、それも含めてどうしたらリアルに届くのか、ということを試行錯誤した映画なんだろうなと感じました。多くの人が自分の人生と照らし合わせて自分ごととして感じる部分があると思います。月並みな表現になりますが、とてもとても素敵でいい映画です。そしてどんな選択にも痛みが伴うということを映画を観て改めて思い知りました。主題歌をどう書こうかと悩むほどの難しい題材でした。映画を美談にするのも、説教臭くさせるのも、主題歌の影響がすごくあると思ったので、率直に感じたことを、香ってきた、吹いてきた何かを音にすることに尽力しました。ほんの少しだけ風が吹くように、少しだけ背中が押せればいいなという気持ちで作りました。」とコメントした。

中川駿監督プロフィール

1987年石川県生まれ。大学卒業後、イベント制作会社を経て独立。イベントディレクターとして活動する傍ら、ニューシネマワークショップにて映画制作を学ぶ。自らが監督・脚本・編集した短編『カランコエの花』(2016)は、国内映画祭で13冠を受賞し話題を集めた。23年、朝井リョウ氏の連作短編小説を原作とした『少女は卒業しない』で商業長編映画デビュー。25年には住野よる氏の小説『か「」く「」し「」ご「」と「』を映画化。その他の監督作品に『time』(14)、『尊く厳かな死』(15)、『UNIFORM』(18)など。今作『90メートル』は長編作品としては自身初めてのオリジナル脚本となる。

■書誌情報
『90メートル』
著者:中川駿
価格:825円(税込)
発売日:2026年2月4日
出版社:文藝春秋

■映画情報
『90メートル』
STORY
小学生の頃からバスケットボール一筋だった佑。高校2年のとき、母・美咲が難病を患ったことで、母子家庭で育った佑はバスケを辞め、美咲の世話を優先せざるを得なくなる。ヘルパーの支援はあるものの24時間体制ではないため、佑が美咲のケアをしながら家事をこなす日々を送っていた。高校3年生になった今、東京の大学に進学したい気持ちはあるが、美咲を一人にするわけにはいかず、常に手元にある呼び出しチャイムの音が、佑の心に重くのしかかる。その看病が一生続くかのように、自分の夢や希望はすべて諦めかけていたある日、担任の先生から自己推薦での受験を勧められる。しかし、日に日に身体の自由を失っていく美咲の姿を見ると、上京したい気持ちを打ち明けられずにいた。そんな佑を前に、我が子の明るい未来を願う美咲は「おかあさん、大丈夫だから」と優しく声をかけるが──。

CAST&STAFF
山時聡真 菅野美穂
南琴奈 田中偉登/西野七瀬
荻野みかん 朝井大智 藤本沙紀 オラキオ
金澤美穂 市原茉莉 少路勇介
監督・脚本:中川駿
主題歌:大森元貴「0.2mm」
(ユニバーサル ミュージック/EMI Records)
プロデューサー:辻本珠子 藤本款 宇田川寧 田口雄介
共同プロデューサー:岡ひとみ アソシエイトプロデューサー:越當陽子
ラインプロデューサー:三橋祐也
音楽プロデューサー:杉田寿宏 音楽:Moshimoss 
撮影監督:趙聖來 照明:藤井聡史 美術:松本良二 装飾:八木圭 録音:鈴木健太郎 編集:相良直一郎 音響効果:浦川みさき
衣裳:阿部公美 ヘアメイク:藤原玲子 キャスティング:東平七奈 助監督:安達耕平 制作担当:矢口篤史
製作:映画「90メートル」製作委員会 製作プロダクション:ダブ 配給:クロックワークス
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(日本映画製作支援事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会
©2026映画『90メートル』製作委員会 公式HP:movie90m.com 公式X:@movie90m

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